アンカリングを投資判断でどう見るか:価格へのこだわり=アンカリング、過去の支出へのこだわり=埋没費用、条件をそろえて幅で見積もる

サンクコストとの区別

アンカリングは、特定の数字が見積りの出発点になりやすい傾向です。サンクコスト効果は、既に費やして戻らないお金や努力を惜しみ、継続に傾くことです。株を1,500円で買って現在1,000円になった場合、「1,500円が本来の価値」と考えるなら価格の基準へのこだわり、「ここまで払ったからやめられない」なら過去の支出へのこだわりが中心です。実際には両方が重なることもあります。

妥当な比較基準まで捨てない

同業他社の利益や過去の配当を参照すること自体が誤りではありません。比較条件を調整せず、最初に見た数値を固定するのが問題です。仮にA社のPERが10倍、B社が20倍でも、成長率、財務、利益の一時性が異なれば、倍率だけで安い方を決められません。数字を無視するより、その数字を使える理由を確かめます。

一つの値ではなく幅で置く

仮に予想EPSを80〜100円、評価倍率を12〜16倍と考えるなら、単純な組合せの株価は960〜1,600円と幅が出ます。一点の目標価格だけを先に見ると、その値に近づくよう材料を選びやすくなります。幅の上下が何の前提から出たかを書きます。ここでの値は思考手順の例であり、実在企業の適正株価ではありません。

自分が最初に見た数字をメモし、別の資料から独立に見積もった結果と比べると、基準の影響を点検できます。同じニュースの転載を複数読んでも、独立した根拠が増えたことにはなりません。

相場の数字と自分だけの数字

直近の高値は市場参加者にも見える価格ですが、自分の取得単価は他の参加者に共通の約束ではありません。いずれも将来の価値の保証にはならないものの、情報としての役割が異なります。自分の購入価格だけを根拠にした指値を置くと、企業の変化と無関係な待ち方になる場合があります。注文の水準を決める際も、なぜその価格なのかを記録します。

出典