一番強い株でも、値上がりしているとは限らない
市場が広く下がると、他より下落率が小さい株が、相対的には強いと呼ばれる場合があります。その株だけを買っていれば利益が出たという意味ではありません。比較する対象と、自分の投資の損益の基準が違います。
モメンタム効果は、過去の成績が良い銘柄群と悪い銘柄群の、その後の成績の違いなどをめぐる研究上のテーマです。「モメンタム」という名前の単一の技術指標だけを指すものではありません。
同じ期間に下がった二社の仮例
独自の仮例として、A社、B社の価格をともに100から始め、6か月後にA社95、B社85になったとします。配当や費用は除きます。
| 比較する点 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 期間の最初 | 100 | 100 |
| 6か月後 | 95 | 85 |
| 価格の変化率 | マイナス5% | マイナス15% |
| 二社の中での成績 | 相対的に高い | 相対的に低い |
A社は相対的に成績が高くても、価格は下がっています。この表だけで、次の期間にA社が上がる、またはB社より成績がよいとは決まりません。実在企業の順位や推奨銘柄ではありません。
手法ごとに、何と比べるかが違う
銘柄間の過去の順位を見る方法は、同じ市場の他の銘柄が比較対象になります。単一資産の上昇・下降を見るトレンドフォローの方法では、その資産自身の過去の価格や平均などを使う場合があります。両者は関連しますが、同じ判定になるとは限りません。
また、PERやPBRなどの評価倍率を見るバリューの考え方は、価格の過去の順位とは異なる基準です。過去の成績が良い株が必ず割高、悪い株が必ず割安と決まるわけでもありません。
研究の結果と個人の取引を区別する
JegadeeshとTitmanの1993年の研究は、過去の勝者・敗者の企業群を用いた戦略を扱っています。公開要旨では、特定の保有期間における収益と、その後に一部が失われる点も述べられています。この結果を、現在の一銘柄の上昇が一定月数続く保証へ変えることはできません。
企業群の売り買いを組み合わせる研究と、個人が一社を現物で買うことでも、負うリスクが違います。入れ替えの費用、注文できる量、急な反転があれば、実際の成績へ影響します。
名前を足すだけでは分散にならない
異なる手法のファンドを持っても、同じ銘柄や業種が重なる場合があります。何の基準で選び、どの期間で入れ替えるかを読むと、商品の名前だけで違いを決めずに済みます。相対順位、絶対的な値動き、企業の評価を分けることが、比較の出発点になります。
出典
参考資料の確認日:2026年10月23日。