十年前の株価を今の適正価格にしない
アンカリングは、最初に見た数値などが判断の基準に残り、そこからの修正が十分に進まない傾向です。長期保有では、購入価格や過去の高値が長く残ることがあります。十年前に2,000円だったという事実だけでは、現在1,000円の株が割安かは分かりません。発行株式数、利益、借入金、事業内容も変わり得ます。
株式分割を調整した比較
仮に1株を2株に分割すると、他の条件が同じなら一株当たりの株価や利益は半分になります。分割前2,000円、分割後1,000円を見て「半値だから安い」と考えるのは誤りです。過去と比較するときは、株価、EPS、配当が同じ株式数の基準に調整されているかを確かめます。
評価の前提も更新する
過去に年100円のEPSを継続していた企業でも、現在の持続可能なEPSが50円へ下がったなら、同じPER20倍を置いても評価の目安は2,000円から1,000円へ変わります。これは計算例で、PER20倍を妥当とする推奨ではありません。過去の株価を先に置くより、現在の稼ぐ力と評価倍率の前提を別に考えます。
長期の資産形成では、昔の家計や目標残高が基準に残る場合もあります。収入、生活費、使う時期が変わったら、当初の投資比率を守ること自体を目的にしないようにします。過去の数字は記録として残しつつ、判断に使う資料の日付を更新します。
名目の株価だけで資産額を比べない
保有株が100株から200株へ増える分割なら、一株価格が2,000円から1,000円になっても評価額は20万円で変わりません。配当も調整前後を同じ基準にします。自分の平均取得単価が証券会社の画面で調整されているか、過去のメモが未調整のままかも確かめます。過去高値の記憶と現在の持ち株数が混ざると、回復に必要な値幅まで誤って見積もります。