同じ割合で上がって下がれば、元に戻ると思った時
前年と同じ率だけ下がったから、買った時の額へ戻ったはずだと思う場面です。「複利の魔法」は、利益を残して再投資する働きの比喩で、値下がりを打ち消す仕組みではありません。
同じ資産の二年間をつなぐ仮例
仮に100万円の資産が一年目に12%上昇し、二年目に12%下落すると、100万円×1.12×0.88=98万5,600円です。変化率を単純に平均した値は0%でも、資産は1万4,400円減っています。上昇と下落は異なる時点の残高へ掛かるからです。複利で考える際は、年率を足すのでなく倍率を掛けます。
「複利の魔法」という呼び方から、上昇だけが積み重なる仕組みだと受け取らないようにします。元本保証のない商品では損失も残高に反映され、毎年同じ率の利益が出るわけではありません。一定の年率で作った表は、値動きの経路を省いた仮定です。
表示利回りと手取りを取り違える
商品を比べるときは、その数字が税や継続費用を引く前か後かをそろえます。表示された運用の年率から継続費用相当を引いて考える場合も、その単純な差が実際の負担を正確に表すとは限りません。実際の費用は日々の残高へ掛かるなど条件が異なるため、説明書の計算方法を確認します。
税の掛かる時点にも違いがあります。売却していない含み益へ毎年一律に課税される前提で計算すると、課税口座を必要以上に不利に見積もる場合があります。分配金を受け取るのか、ファンド内で運用が続くのかを分けます。
引出しと追加入金を別に置く
残高が増えても、新しい入金が多かっただけかもしれません。逆に利益を使った後の口座残高だけを見ると、受取済み現金を見落とします。入金、引出し、残高を同じ期間で並べて損益を確認します。
高い想定利回りを置けば将来額は大きくなりますが、その数字に合わせて借入れや集中投資を増やすのは別のリスクを生みます。低収益や下落のケースも並べ、途中で資金が必要になった場合に売却を強いられないかを点検します。