利益が増えても一株利益は減る仮例
会社の年間利益が1億円から1億5,000万円へ増えた一方、増資などで計算対象の株数が1,000万株から2,000万株へ増えたとします。単純な1株利益は10円から7.5円となり、利益総額は50%増えても一株当たりでは25%減です。実際の会計上のEPSに使う期中平均株式数などを省いた説明です。
この計算だけで増資を悪いと決めることはできません。調達資金で生産能力を増やしたり、借入負担を減らしたりして、その後の稼ぐ力が改善する場合があります。資金の使い道と回収まで追う必要があります。
小さいことと成長できることは別
小型株効果は過去の銘柄群の収益に関する傾向です。すべての小型企業に成長余地が残り、長く持てば大型化するという法則ではありません。市場が縮小する事業や競争力を失う企業も、時価総額が小さくなることがあります。
長期の保有理由は、顧客、採算、競争条件、現金の回収、財務の余裕で説明します。小さな会社だから期待できるという一言では、事業が変わった後の判断ができません。
必要時期が来たときの出口も考える
長期保有を予定していても、教育費や住居費の期限は来ます。取引が少ない銘柄に大きな金額を置くと、必要な数量を希望価格で売れない場合があります。
指数商品でも、採用範囲や組み替えで保有先は変化します。過去の平均差を将来の目標収益へ固定せず、費用、資産配分、使う時期を合わせて見直します。保有年数を伸ばすだけで事業や換金のリスクが消えるわけではありません。
出典
- Fama and French(1992)『The Cross-Section of Expected Stock Returns』(出版社公開本文・過去の米国株の分析)
- Kenneth R. French『Description of Fama/French Factors』(著者の大学公開資料・HML/SMBの定義)
- 日本取引所グループ「売買成立の方法」
出典確認日:2026年10月23日。