最も近い売値だけでは、全量を買えるとは限らない
少額なら買えた株でも、注文をまとめると複数の価格帯で約定する場合があります。流動性を考える時は、売買したい数量に対して、その価格に注文がどれだけあるかが問題です。「流動性の法則」という呼び名から、必ず上がる・下がるという定量的な法則が決まるわけではありません。
架空の注文板で代金を合わせる
売り注文が1,000円に100株、1,010円に200株あるとします。300株の成行買いがこの順に成立すれば、代金は10万円と20万2,000円を合わせた30万2,000円、平均約定単価は約1,006.67円です。税や費用を省き、ザラバ中に他の注文の追加・取消しが無いという条件に置いています。
最も安い売値1,000円が表示されていても、全量をその値段で買えるとは限りません。JPXの売買成立の説明も、ザラバでは価格や時間の優先に従い、条件の合う注文から成立する仕組みを示しています。大きな価格差や特別気配になる場面では、例のように直ちに約定するとも限りません。
出来高と、今売買できる数量は別
出来高は過去に成立した取引の量で、現在の板に残っている注文量ではありません。朝に取引が多くても、午後に参加者が減れば板は薄くなり得ます。時価総額や株数の多さだけでも、希望する価格に必要量があるとは判断できません。
売買代金、最も近い売値と買値の差、複数の価格帯の数量は、それぞれ違う情報です。材料発表の直後だけ売買が膨らんでいれば、普段と同じ条件で換金できるとは置けません。
売りやすくても、損をしないとは限らない
大きく値下がりしている銘柄でも、売買自体が活発なら、現在の相場に近い価格で取引しやすい場合があります。価格変動の負担と、必要量を売れるかという負担を分けます。取引停止や急変時には、普段の板や出来高も判断の前提として使えなくなることがあります。
指値を使えば売買価格に条件を付けられますが、約定しない場合があります。成行は価格を指定しません。保有額や資金を使う時期も合わせ、買えるかだけでなく売る場面の負担を考えます。
市場全体への資金供給は、個別株の板の厚さとは別の概念です。ニュースで流動性という言葉を見た時には、どの市場の何を説明する意味かを分けると、資金供給が増えたから全銘柄を損なく売れるという誤解を避けられます。