古い配分を「安全」と思い込む
以前決めた配分のままだから安全だと思い、値上がりして保有額が偏ったことを点検していない。現状維持バイアスが強い場面では、新しい判断の間違いを恐れる一方、既存の保有を続けるリスクを小さく見積もることがあります。値上がりで偏った配分や、使う時期が近づいた資金も、そのまま残りがちです。
仮に金融資産600万円のうち特定企業の株が240万円を占めるなら、その株だけで40%です。その部分が30%下落し、他が変わらなければ資産全体の減少は72万円、12%になります。「何年も持っているので慣れた」という感覚からは、この負担の大きさは分かりません。
保有開始時には小さかった比率が、値上がりや買い増しで大きくなる場合もあります。今の評価額で計算し直すことで、昔の購入額に基づく安心感を点検できます。
放置で見落とす条件
- 投資信託の費用や運用方針が、保有理由と合っているか。
- 家計の収入、教育費、住宅費などが変わっていないか。
- 同じ業種・地域への投資が別の商品にも重なっていないか。
- 売却しにくさや必要な手続きも含め、使う時期に間に合うか。
これらを確認せず、下落したから慌てて売ると、別の感情的な判断へ移るだけです。売却による税負担や手数料、投資先を変える効果も比較します。単純に安い商品へ移れば必ず得になるとも限りません。
点検の頻度と売買の頻度を分ける
見直しは取引の命令ではありません。たとえば毎年の決まった月と、家族構成や資金需要が変わった時に確認すると、相場の騒がしさから距離を取りやすくなります。
現在の目的と許容できる値動きに合っていれば、そのまま保有する理由になります。説明が「売るのが面倒」だけになっている時こそ、変更しない場合の影響を具体的な金額で確かめます。