ニュースを読んだ時には、もう値上がりしている
会社の好決算を知って買おうとしたら、既に価格が上がっていた。自分が初めて知った情報でも、市場にとって初めてとは限りません。効率的市場仮説は、利用できる情報が価格へ反映されるという考え方です。略してEMHとも呼ばれます。
情報が反映されやすいなら、公表資料を読んだだけで、同程度のリスクの投資を継続して上回るのは簡単ではない、という問いにつながります。利益を出すことと、市場の比較対象を上回ることも別です。
初めて情報と価格を照らす、一つの手順
まず、何を材料に買いたくなったかを残します。前日までのチャートなのか、公表済みの決算なのかで、見ている情報は違います。通常の分類では、過去の価格や売買の情報を対象とする弱形式、公開情報全体の準強形式、非公開を含む強形式を分けます。
次に、その情報が公表された時刻と、自分が読んだ時刻を分けます。公表前の終値を、後から知った決算を使って買える価格として扱うと、実際には利用できなかった取引になります。期待が以前から価格に含まれていた可能性もあります。
最後に、利益があったかだけでなく、どの対象と比べるかを決めます。同じ期間の比較でも、特定業種へ集中した資産と広い市場では、負っているリスクが違います。配当、費用、税、入出金の扱いが違う数字を並べても、情報の優位性を測ったことにはなりません。
インデックスを選ぶ議論と、商品の安全性
個別銘柄を選び続ける負担を減らし、市場全体を広く持つ方法を考える根拠の一つにはなります。しかし、どの指数へ投資するか、費用はいくらか、特定の国や業種へ偏るかは残る判断です。指数に連動することは、損をしないという意味ではありません。
また、価格へ情報が反映されるという仮説から、すべての参加者が常に合理的だとは言えません。Fama本人も大学公開の対談で、モデルと現実の一致を無条件には扱っていません。
分析をやめるための言葉にはしない
会社の借入れや事業を読むことは、明日の上昇を当てる以外にも、何の損失を引き受けるかを理解する役割があります。仮説だけで分析を不要としたり、家計の必要資金まで価格変動のある資産へ回したりする理由にはなりません。
市場が正しいか間違いかという二択にする前に、自分の材料は何で、いつ使え、誰と比べるのかを明らかにする。そのための入口として読めます。
出典
- 豪準備銀行 Tro Kortian(1995)RDP 9501 第1節・脚注2(情報集合による分類と理論の限界)
- Chicago Booth(2016)『Are Markets Efficient?』(Fama・Thaler本人の対談、モデルと現実の区別)
出典確認日:2026年10月23日。