オイルショックとは?よくある失敗でわかる投資判断の使い方

原油の値上がりを、すべての資源株の好材料にしない

原油高のニュースを見て石油に関係する会社を買ったのに、決算では利益が落ちる。歴史上のオイルショックを投資に結び付ける際に起こりやすい読み違いです。石油を売る会社、買って加工する会社、燃料として使う会社では、同じ値上がりの意味が違います。

第一次石油危機は1973年の第4次中東戦争を契機に、アラブ産油国による供給削減・禁輸や原油公示価格の引き上げが重なった局面です。第二次は1979年のイラン革命などを背景に起こりました。単なる日々の原油相場の変動ではなく、供給不安と高価格が経済全体へ波及した出来事です。

産出側でも、生産量の減少や操業停止、税負担の増加があれば価格上昇分が利益に残るとは限りません。会社名に「石油」があるかより、どの事業で収益を得ているかが先です。

値上げ後も利益が戻らない架空の例

年間売上1,000万円、燃料費100万円、その他の費用800万円の会社を考えます。簡略化した営業利益は100万円です。数量と他の費用が変わらず、燃料費だけ160万円になると、利益は40万円まで減ります。

販売単価を5%上げても、売上は1,050万円、利益は90万円です。増収でも元の利益には戻りません。燃料費の増加を上回る値上げが必要なうえ、実際には値上げで販売数量が減ることもあります。図はこの一つの仮定を並べた計算で、実在企業の業績予想ではありません。

原油価格の上昇率を燃料費全体の上昇率にそのまま当てはめるのも危険です。為替、長期契約、輸送費、税金、価格変動を抑える取引によって会社の支払額は変わります。

仕入れ・転嫁・需要の時間差を見る

仕入れ価格がすぐ上がり、販売価格を改定できるのが数か月後なら、その間は利幅が縮みます。安く買った在庫が先に売れる時期には逆の見え方も起こります。内閣府の2023年の分析も、輸入価格から国内価格への転嫁に時間差があることを扱っています。すべての企業で同じ期間になるという意味ではありません。

確認したいのは、決算説明で示される原燃料費の影響、価格改定の実施時期、販売数量、事業別の利益です。資源高が家計の光熱費を増やせば、外食や耐久財など別の消費に回すお金を減らす経路もあります。取引先の負担まで見ると、直接の燃料使用量だけでは分からない影響が見えます。

過去の危機を、そのまま次の売買表にしない

1970年代と現在では、産業構造、エネルギー源、備蓄、各社の契約が違います。昔上がった業種の順位を覚えても、同じ順番で株価が動く保証はありません。ニュースの時点ですでに資源高を見込んだ価格になっていれば、好決算でも株価が下がる場合があります。

買う前に「原油が上がれば得をする」という仮説を、販売数量、単位当たり利益、契約更新時期で説明できるかを確かめます。仮説が外れた損失を、さらに同じ資源テーマへ集中して取り返そうとすると、供給再開や需要減による値下がりも一度に受けます。歴史から使えるのは固定の必勝銘柄より、影響が届く経路の点検です。

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