値下がりしたら、全部売りたくなったとき
積み立てていた投資信託が下がると、「いったん全部売って、落ち着いたら買い直そう」と感じることがあります。損失を避けたい気持ちは自然ですが、売る時期だけでなく、買い直す時期も選ぶことになります。値上がりを見て安心できる頃には、売却時より高くなっている場合もあります。
ジョン・ボーグルはバンガードの創業者で、低コストのインデックス投資を広めた人物です。2008年の本人の講演では、短期の価格を追う投機と、分散した資産を持つ投資を区別しています。これは、あらゆる商品を無条件に保有し続ける勧めとは読めません。
計画に戻す作業は、予想を当てる作業と違う
独自の仮例で考えます。長期用の資金100万円について、本人が検討して株式型投資信託60万円、預金40万円と決めたとします。生活費など別に確保した現金は、この100万円に含みません。株式部分だけが25%下がり、預金残高が変わらなければ、合計は45万円+40万円=85万円。株式の割合は約52.9%になります。
元の株式60%・預金40%へ戻すなら、株式を51万円、預金を34万円にするため、預金から6万円分を株式側へ移す計算です。購入価格で全額買えると仮定し、手数料、税金、利息、分配金は除きます。これは値動きによる配分のずれを直すリバランスの説明で、誰にも60%の株式が適するという提案ではありません。
安くなった資産を買うにも、前提がある
下がった資産へ資金を戻すのは、さらに損をしそうで気が進まない作業です。逆に、上昇している資産だけを増やすと、当初より大きな値下がりに耐えなければならない配分になることがあります。あらかじめ見直す時期や配分の許容範囲を決めておけば、その日の気分と計画を比べられます。
例の人でも、収入が減って長期用の預金を生活費に使う必要が生じたなら、配分を戻す前提自体を再検討します。継続を重視する考え方は、現金不足を無視する理由にはなりません。必要な現金まで株式へ移すことと、余裕資金の配分を整えることは別です。
低コストと分散も、安心の保証ではない
インデックス投資は指数への連動を目指す運用です。指数が下がれば損失は生じ、対象が一つの国や狭い業種なら、その範囲のリスクが残ります。費用が安い商品でも、投資対象や値動きへの理解が不要になるわけではありません。
感情が強い日の記録には「いくら下がったか」に加え、「何のためのお金か」「使う予定は変わったか」を残せます。買う理由と買わない理由を無理に同じ数にそろえる必要はありません。価格への怖さと家計の条件の変化を分けることが、他人の名言に判断を預けない読み方になります。