オッカムの剃刀とは?意味と投資での見方

話を短くする前に、説明する事実をそろえる

利益が2倍になった会社を見て、経営改革が成功したのだと説明すると分かりやすく感じます。ただ、その理由が資料で確かめられたかは別です。数字の内訳だけで説明できる変化に、未確認の物語を足しているかもしれません。

オッカムの剃刀は、説明のために不要な仮定を増やさない、という考え方として知られます。投資用の売買指標ではなく、仮説を整理する道具です。情報を少なく集めることや、複雑な事実を見なかったことにする手法ではありません。

利益2倍の理由を、内訳から考える仮例

架空の会社で、前期の税引前利益が100万円、今期が200万円だったとします。今期の内訳を読むと、通常の事業などからの利益は前期と同じ100万円で、別に一度限りの資産売却益100万円が含まれていました。他の変動はない設定です。

この事実があれば、合計の増加は売却益で説明できます。事業が急成長した、競争相手が消えた、来期も同じ増益が続く、といった条件を追加する必要はありません。税引前利益を使った仮例であり、税金を引いた最終利益や営業利益が同じ数字だという意味でもありません。

一方、資産を売ったお金の使途や、事業の先行きまで分かったわけではありません。売却が企業に有利か、今の株価が割安かという別の問いには、追加の資料が要ります。

事実、説明、次に必要な情報を分ける

最初に資料で確かめたことを書き、次にその事実を説明するための仮説を置きます。最後に、まだ分からない点と、それを確かめる資料を分けます。この順序なら、一つの見出しから来期の利益まで飛び越えにくくなります。

米国SECの入門資料も、損益計算書の合計だけでなく費用の内訳や注記を読む意味を説明しています。ここでは一般的な読み方を参照しており、日本企業と米国企業の表示や会計基準がすべて同じだとするものではありません。

調べた結果、複数の事業や費用が本当に関係しているなら、その複雑さは残します。説明に必要な項目まで削れば、単純な説明にはなっても、資料の内容とは合わなくなります。

単純な仮説は、暫定の説明として扱う

哲学者Elliott Soberの解説は、単純性を好むことと、それが真実を示す根拠になることを区別しています。分かりやすい説明を採用しても、それだけで正しいと証明されたわけではありません。

新しい資料で説明できない事実が出た時は、仮説の条件を直します。オッカムの剃刀を使う利点は、調査を早く終わらせることより、何を根拠に考え、どこから先を推測しているかが見えることにあります。

出典