陰線が前日の陽線を包んだ場面を考える
上昇が続いた銘柄で大きな陰線が現れると、天井を付けたように見えることがあります。包み足は、そのような反転候補を説明する形です。ただし、観察できた形と、その後も続く値動きは同じではありません。
ここでは2本目の実体が前の実体を上下に覆う条件を使い、陽線の後を陰線が包む例を扱います。実体は始値と終値の間で、ヒゲまで含める値幅の判定とは分けます。図と数値は説明用に独自に設定したもので、実在する株価を加工したものではありません。
三日分を、結果が分かる順に読む
この前に上昇基調が続いていたと仮定し、3営業日の4本値を次のように設定します。単位は円です。
| 営業日 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 1日目 | 1,460 | 1,510 | 1,450 | 1,500 |
| 2日目 | 1,510 | 1,520 | 1,430 | 1,440 |
| 3日目 | 1,470 | 1,550 | 1,460 | 1,540 |
1日目の実体は1,460~1,500円。2日目の実体は1,440~1,510円なので、前日の実体を包む陰線になります。この時点では、上値を維持できなかった警戒材料と読む余地があります。
しかし、3日目は反発し、終値で2日目の高値を上回りました。陰線の包み足が出た事実は消えませんが、その形から継続的な下落を決めつける見方は成り立たなくなります。3日目の値動きは、2日目の引けの時点ではまだ分からなかった情報です。
失敗例から、何を記録すべきかが分かる
この例で「包み足は役に立たない」と一回で結論を出すのも、「本物の包み足ではなかった」と結果に合わせて定義を変えるのも適切ではありません。形の判定と、反転が続いたかという評価を別々に記録する必要があります。
検討する条件には、出現前の上昇を何日・どの指標で判定するか、包む対象を実体にするか、翌日に確認を待つか、何日後を結果とするかがあります。条件を追加するほど、同じ名前でも別の手法になります。
翌日の確認を待てば、新たな価格を見てから判断できますが、取引価格が変わり、見送る場合も増えます。確認を足すことを、損失をなくす操作とは考えられません。検証では利益例と失敗例の両方を同じ条件で扱います。
実際の注文には、図にない条件が加わる
図の高値や終値で都合よく売買できたと仮定すると、検証は実際より良く見えやすくなります。形が完成した後に判断するなら、その完成前の価格で注文を成立させたことにはできません。購入単位や売買費用、取引が少ない時の価格差も反映する必要があります。
また、長期保有の理由が業績成長なら、二日の足だけでその理由が変わったのかを別に確認します。逆に、業績悪化を伴う下落なら「包み足の翌日は戻るかもしれない」という期待で悪化を無視しないことです。チャートの形は、企業についての情報まで置き換えるものではありません。