反転しそう、という感覚を具体的な観察に変える
下落した株を見て「そろそろ戻りそう」と思っても、何を根拠にそう感じたのかを説明するのは難しいものです。包み足を知ると、前日の実体を翌日の実体が覆った、という観察に言い換えられます。買うかどうかを決める前に、話の前提が具体的になります。
ここで使う包み足は、始値と終値の間の実体を次の実体が上下に包む形です。下落後の陰線を陽線が包めば強気側の反転候補として読みますが、二本だけでトレンドの転換が確定するわけではありません。高値圏か安値圏か、直前までの値動きも合わせて見る必要があります。
利点は、曖昧な強気を観察と仮説に分けられることです。勝率が高いという保証を得ることではありません。
形が出ても、金額の条件で見送る仮例
架空の日足で、前日を始値800円・終値780円・高値810円・安値770円、当日を始値775円・終値815円・高値820円・安値765円とします。当日の陽線の実体が前日の陰線を包む形です。
この後の購入を825円、見方が崩れた場合の売却を760円と仮定すると、100株では(825−760)×100=6,500円の損失です。税金、配当、費用は除き、両価格で成立した場合だけの計算です。東証の内国株の通常の売買単位100株を前提にしています。
仮に自分がこの一回に割り当てた損失額を5,000円までと決めていたなら、通常の100株購入はその条件に収まりません。線を見つけたことと、金額面で取引できることは別です。基準に合わせるためだけに売却の想定価格を無理に近付けると、最初の観察との関係が薄れます。
安値は観察の基準であり、損失を止める壁ではない
仮例では包んだ陽線の安値付近を、見方を改める際の参考にしています。ただし、価格はその水準で必ず止まるわけではありません。次の取引が大きく安い価格から始まる場合や、売りたい時に買い注文が足りない場合もあります。
逆指値を置いても、指定した水準への到達は注文を出す条件であり、その価格での約定の保証ではありません。成行なら想定より安く売れることがあり、指値なら価格が合わず売れないことがあります。したがって、先ほどの差額は最大損失を確定した数字ではありません。
売買を考える前に、取引量や注文方法も含めて実行可能性を確認する。この手順までつなげると、包み足の知識は形の暗記から、購入を見送る条件を見つける材料に変わります。
振り返りで説明を変えにくくなる
どの足を包み足と数えたか、出現前にどんなトレンドだったか、完成後にどう判断したかを記録すると、結果が良かった場面だけを覚える偏りを減らせます。検出ツールの設定を変える場合も、前と同じ条件の成績として混ぜないことが必要です。
また、短期の反転候補が見つかっても、長期で保有する企業の利益や財務が改善したとは限りません。期間の異なる判断を分け、価格の観察で分かることを限定するからこそ、この形をほかの材料と組み合わせて使えます。