似た売買の結論でも、理由が同じとは限らない
5月だから売る、判断がつかないから新規の取引を休む、高値にいられる期間が短そうだから保有期間を確かめる。どれも取引を控える方向に見えますが、見ている対象は違います。格言を比較する時は、その違いを先に分けます。
セル・イン・メイは、5月にいったん株を売り、秋ごろに戻るという季節性の格言です。休むも相場は、売買を続ける以外に距離を置く選択があることを示します。天井三日、底百日は、高値圏の短さと安値圏で待つ時間の長さを仮の日数で表す言葉です。
いずれも、言葉を知っているだけで次の株価が分かる指標ではありません。同じ日に三つが当てはまる気がしても、独立した三つの裏付けが得られたと数えることはできません。
一つの決算待ちを、三つの問いで見る例
独自の架空の状況で、5月に決算発表を控える企業への新規投資を考え、最新の利益見通しはまだ読めていないとします。株価が高値圏にあるように見えても、将来の天井かは分かりません。
| 格言 | この場面で加わる問い | それだけでは分からないこと |
|---|---|---|
| セル・イン・メイ | 過去の同じ季節と何が同じか | 今年の決算の中身とその後の価格 |
| 休むも相場 | 未確認のまま注文する必要があるか | 休んだ方が利益になるか |
| 天井三日、底百日 | 待つ期間を最初に想定したか | 今日が高値か、何日で反転するか |
この例なら、まず決算を読み、保有する理由を確かめるという共通の作業が残ります。格言を三つ並べても、未確認の情報が確認済みへ変わるわけではありません。
季節性を比べるには、売却と再購入の条件が要る
セル・イン・メイは暦を使いますが、実際の検証には、何月の何日の価格で売り、いつ戻るのかという条件が必要です。月初と月末を混ぜたり、都合よく売買日を選んだりすれば、同じ言葉でも別の結果になります。
一方、休むも相場は、毎年同じ月に全保有を売るような規則ではありません。新しい短期取引だけ控えることも含め、何を休むかによって行動が変わります。長期の積立を続けることと、追加の売買を控えることも両立します。
天井や底は、後から区切れば選べますが、取引する時点ではまだ先の価格がありません。三日や百日を数えた結果を、将来の反転の保証にしてはいけません。
格言を選ぶ前に、何を判断するのかを決める
相場全体の季節の特徴を調べたいのか、自分の取引の頻度を減らしたいのか、短期の取引を長期へ変えかけているのかで、役立つ問いは異なります。格言の結論だけを組み合わせると、その違いが消えます。
株価には企業の業績と市場全体の要因が関わります。格言は検討を始める補助にとどめ、企業情報、資金の用途、注文条件に戻って判断します。複数の言葉が同じ方向を向いたことより、確認できた事実が増えたかを見ます。