数値があるだけで、安心していないか
利益の予想を人から聞くより、指標が高いと表示されているほうが納得しやすい場合があります。けれども、計算が正確であることと、将来も同じ条件が続くことは違います。シャープレシオは、基準を超える平均収益をそのばらつきで割った値であり、元本保証の証明ではありません。
ランキングに安心して購入額を増やす前に、何年分の、どんな間隔のデータから出た数字なのかを読む必要があります。「高いから優れている」という印象だけで、観察されていない損失まで小さいと決めないことが、心理面での使いどころです。
穏やかな四か月の後に下落した独自例
架空の月次収益率を、順に+0.4%、+0.5%、+0.6%、+0.5%、マイナス10%と置きます。安全資産の月次収益率はゼロで一定、費用と税金は除いた仮定です。最初の四か月だけと、五か月目までで計算を比べます。
| 計算に含める月 | 月次収益率の算術平均 | 月次の標準偏差 | 月次シャープレシオ |
|---|---|---|---|
| 最初の四か月 | 0.500% | 約0.08165% | 約6.12 |
| 下落月を含む五か月 | マイナス1.600% | 約4.69628% | 約マイナス0.34 |
標準偏差は、平均からのずれの二乗を足し、観察数から一つ引いた数で割って平方根を取る標本の計算を使いました。途中では丸めず、表で概数にしています。どちらも月次の比率で、年率換算はしていません。
高かった比率が、次の損失を防ぐわけではない
例では四か月の収益率が近いため、分母のばらつきが小さく、高い比率が出ています。それでも次の月の損失を排除していません。この並びは本記事の仮定であり、実際のファンドの成績や、下落が起きる確率を示すものではありません。
過去の一部を切り出して良い数字を見せられる場合には、開始時点や終了時点を変えたらどうなるかも問いになります。一つの計算期間に安心して、生活に使う現金まで追加する理由にはできません。期間を長くすれば必ず将来が分かるわけでもありません。
順位を、投資先を調べる入口にとどめる
比率の分子に収益率全体をそのまま使っていないか、基準金利をどう置いたか、分配金や費用の扱いは何かを照合すると、見かけの順位が何を表すかを追えます。指標の数字だけでなく、投資先の資産や、換金の条件も別に読む必要があります。
感情をなくすより、高い指標を見たから額を増やそうとしているのか、目的に合う投資対象を調べた結果なのかを分けて記録する方法があります。数値は判断材料です。大きな値に安心しすぎないことと、値下がりした一回だけで運用を全否定しないことを、併せて考える読み方です。