収益率だけを見ていたときに足せる視点
ファンドの成績を並べて、収益率の高いものを選びたくなることがあります。しかし、同じ収益を得るまでに大きく上下した運用と、比較的小さく動いた運用では、持ち続ける負担が違います。シャープレシオは、超過収益と、その変動を一つの比率で見るための運用指標です。
超過収益とは、比較の基準に置く安全資産の収益率を上回る部分です。標準偏差は、各期間の収益率が平均の周りでどの程度ばらつくかを表します。ここでいうリスクはばらつきであって、破綻や換金の難しさを含むすべての危険ではありません。
年間の見積りから計算する独自例
架空の運用で、今後一年の期待収益率を9%、同じ一年の収益率の標準偏差を14%、安全資産の収益率を2%の一定値と仮定します。実際の商品の成績や現在の金利ではなく、計算を読むために置いた見積りです。
超過収益は9%−2%=7ポイント。シャープレシオは7÷14=0.5です。安全資産の収益率が一定という仮定なので、超過収益の標準偏差は運用そのものの標準偏差と等しくなります。9%をそのまま14%で割ると、基準を超えた部分を測る計算にはなりません。
0.5は50%の利益や、二回に一回勝つという意味ではありません。分子と分母を同じ単位で表して割った、単位のない比率です。ここでは費用や税金を除いた期待収益率を使い、予想の実現も保証していません。
過去の数値から作る場合は、資料の条件を読む
実績から計算する場合は、一定間隔の収益率から、その期の安全資産の収益率を引き、平均と標準偏差を求めます。例のように与えられた期待値を使う計算とは違い、観察した期間とデータの取り方が結果に影響します。
円ベースと外貨ベース、分配金を含むか、費用を差し引いているか、月次か日次かをそろえない比較は、数値が高い理由を読みにくくします。月次の比率と年率換算した表示を、そのまま同じ尺度として並べることもできません。
高い数値が、安心して持てる金額を決めるわけではない
標準偏差が小さく見える短い期間だけを使えば、大きな下落が起きたときの負担が計算に含まれない場合があります。また、一つの運用の比率だけでは、ほかに持つ資産と同時に下がるかどうかは分かりません。
例の0.5も、仮定した収益と変動の関係をまとめた値です。売却したい時期の価格、必要な現金、保有額は別に検討する必要があります。実際の比較では元の収益率と変動の数字へ戻り、どんな条件から出た比率かを読める範囲で使います。