選ばなかった全部を、同時に得られたことにしない
あの株も別の投資も買っていれば得をした、と利益を次々に足すと、同じ資金を何度も使った計算になります。機会費用は、選ばなかった代案すべての合計ではありません。限られた資源を使うために諦めた、次に良い選択肢の価値です。
同じ金額を二つの投資へ同時に全額使えないなら、比較はどちらか一方との間で行います。分割して投資する案が実行可能なら、それを別の一つの代案として条件をそろえる必要があります。
機会費用という言葉を、取り逃した利益への後悔と同じ意味にすると、現実には選べなかった売買まで損失のように感じてしまいます。
同じ資金を使う三つの案で、数え方を確かめる
独自の仮例で、同じ30万円を同じ期間に使う用途としてA、B、Cがあり、一つだけ選べるとします。予想収益はAが1万2,000円、Bが9,000円、Cが0円と置きます。どれも仮定の数字で、実際の商品の利回りではありません。
ここでCを選び、Aが自分にとって次に良い選択だったと評価した場合、諦めたAの価値を比較に置きます。AとBを同時に実行できないので、両方を足した2万1,000円を失ったとは数えません。
また、予想収益が高いAが、だれにとっても次善になるわけではありません。損失の可能性や換金の条件が許容できなければ、選択肢の順位も変わります。この例は予想額を足さないことを示すもので、最も高い利回りを選ぶ指示ではありません。
後からの最良と、判断時点の代案を混ぜない
比較に使うのは、決めた時に分かっていた情報と実行可能な条件です。後から急騰した銘柄を見つけ、最初からその高値で売れたものとして比べれば、結果を知った後の評価になります。
予想と実績を分けて記録すると、選択肢を見落としたのか、予想の根拠が弱かったのか、単に不確実な結果が出たのかを検討できます。悪い結果が出たことだけで、当時の判断過程がすべて間違いだったとは決まりません。
反対に、結果が良ければ比較は不要とも言えません。見落とした制約や費用が、たまたま値上がりで隠れている場合があります。次に同じ方法を使えるかを確かめるための比較です。
過去の支出と、これから変えられる部分を分ける
すでに支払い、返金されない調査サービス料などは埋没費用です。今後どの案を選んでも戻らない支出を、さらに同じ投資へ資金を入れる理由にはできません。これから追加で払う費用や失う機会とは分けます。
ただし、持っている株そのものは現在の価格で売却できる価値があるため、購入代金の全額を回収不能な費用と決めつけるのも不正確です。今の売却価値、今後の見通し、費用や税、ほかの資金用途が現在の比較対象になります。
過去に多く調べたから持つ、他で得られたはずだから無理に取り返す、という判断を避けるには、今から動かせる資金と時間へ問いを戻します。機会費用は後悔を増やす計算より、次の選択を具体化するために使います。