値下がりした事実と、先行きへの見方を分ける
悪いニュースのたびに売りが出て、少し良い材料があっても回復を信じる人が少ない。こうした局面を、悲観相場と表現することがあります。将来への暗い見通しが広がる状態を指す言い方で、判定する数値が一つに決まった制度上の分類ではありません。
証券用語の「弱気」は、相場が先行き下がると予想する見方です。これに対し、株価が下がったことは観測できる結果です。下落した一日だけを見て、参加者全員の心理が同じだと特定することはできません。
市場全体の金利や景気への懸念と、その企業だけの業績悪化も区別します。指数が下がった日に個別株も下がったとしても、理由まで同じとは限りません。
株価が安くなっても、割安になるとは限らない
独自の仮想企業で、株価1,500円、1株当たり予想利益(EPS)100円なら、株価をEPSで割る予想PERは15倍です。その後、株価が1,200円に下がり、同時にEPS予想が60円へ減ったとします。
株価は20%下がっていますが、新しい予想PERは1,200÷60=20倍です。利益予想の減り方が価格の下落より大きいため、利益に対して払う倍率はむしろ上がりました。配当、税金、売買費用、株式分割はない設定です。
これは適正なPERを決める計算ではありません。同じ事業でも利益の見通しを更新せず、昔の高値から何割安いかだけを見ると、割安さを取り違えることを示しています。一時的な損益でEPSが動く場合もあるため、その中身まで読む必要があります。
売られすぎという説明にも、比較する根拠が要る
悲観が強いから行き過ぎだ、と言うだけでは、どこが行き過ぎたのかが残りません。数量や利益率、資金繰りの悪化が予想の範囲を超えたのか、どの価格ならそのリスクを負えるのか、比較する対象を明確にします。
また、悪い決算でも価格が上がる場合があります。発表前にもっと悪い結果が予想されていた可能性などがあり、過去の数字が悪いことと、発表後の値動きの方向は一致しません。一日の反応だけから底打ちを確定することもできません。
会社の説明と、それを裏付ける実績を分けて読むと、単なる雰囲気から検討を進められます。悲観相場という言葉だけで購入理由が完成するわけではありません。
悲観がいつ終わるかを当てる言葉ではない
下がった後にはさらに下がる余地があり、安値圏が長く続く場合もあります。反対に、雰囲気が改善したと感じる前に価格が戻る場合もあります。悲観が十分に強くなれば必ず反発する、と決まった時間割はありません。
実際の判断では、企業の見通しと家計で負える損失、資金を使う時期を対応させます。悲観相場は、その時の見方を説明する補助語として使い、保有理由や金額は別の具体的な条件で決めるのが妥当です。