円で買えば、為替の影響がないとは限らない
NISAで外国株式に投資する投資信託を円で買った時、残高が円で表示されるので、為替を気にしなくてよいと思うことがあります。しかし、買付けに使う通貨と、商品が実際に持つ資産の通貨は別です。
通貨の歴史は、単位や交換の仕組みが時代によって変わることを教えてくれます。現在の円を過去の金貨との兌換制度と同じに扱ったり、昔の出来事だけで今後の円相場を決めたりすることはできません。NISAの非課税という条件も、通貨の値動きを止めるものではありません。
外貨で増えても、円で減る独自の仮例
NISA対象の投資信託を保有していると仮定し、その持分に対応する組入資産が1,000ドル、為替が1ドル150円なら、円換算の価値は15万円です。次に資産自体は1,100ドルへ10%増えても、為替が1ドル130円になれば、円換算は14万3,000円です。
円では7,000円、約4.7%の減少になります。為替ヘッジはなく、費用、税金、配当や分配、他の資産・負債は除いた単純計算です。実際のファンドの基準価額算出を再現したものではなく、外貨資産の値動きと通貨の換算を分ける例になります。
一株や投資信託の一口の価格を設定した例でもありません。自分の保有分に対応する資産の合計を仮置きしており、この金額で実在商品を購入できるという案内ではありません。
NISAの商品条件と、通貨への投資を混同しない
NISAは対象となる株式や投資信託等の運用益を非課税にする制度です。通貨を学んだことから、外国為替証拠金取引のFXもそのままNISAでできる、とはつながりません。FXはNISAの対象ではありません。対象商品であることと、価格や為替が有利なことも別です。
2026年10月23日時点の成人向け現行制度を前提に、利用する枠の対象商品と、口座での取扱いを確かめます。投資信託では、名称や買付通貨に加え、投資対象の国・通貨、為替ヘッジの有無、価格変動や信用のリスクを目論見書で読みます。
使う予定のお金を、何の通貨で考えるか
将来の支払いが円なら、外貨で増えたかだけでは、その支払いに足りるかは分かりません。一方、外貨で支払う具体的な予定があれば、必要な通貨と時期を合わせて考える場面もあります。どちらか一つの通貨が常に最善とは限りません。
歴史上の制度を知る価値は、通貨にも条件があると意識できる点です。為替を当てるために投資先を頻繁に入れ替える結論へ飛ばず、非課税の仕組み、保有資産の中身、最終的に使う通貨を別々に確かめます。