強そうな会社を、同じ理由で三回評価しない
利用者が多い会社を見て、ネットワーク効果があり、規模の経済が働き、顧客も離れない、と一度に評価したくなることがあります。しかし、三つは同じ意味ではなく、一つがあるだけで残りも確定するわけではありません。
ネットワーク効果は、参加者の増加がほかの参加者の便益へ及ぼす影響です。規模の経済は、規模が大きくなることで平均費用が下がること。乗換え費用は、別のサービスへ移る時に生じる金銭や手間などの負担です。
地域の修理依頼サービスを、三つの面から読む
独自の仮例として、家庭の機器修理を専門業者へ依頼するサービスを考えます。必要な機種を扱う業者が増え、依頼者が選びやすくなるなら、別の側の参加が便益へつながる間接のネットワーク効果として考えられます。
同じサービスで依頼件数が増え、共通の運営費を多くの案件で負担できれば、一件当たりの費用が下がる可能性があります。これは会社側の費用を読む話で、依頼者が必要な業者を見つけられるかとは別です。
また、他社へ移る時に機器情報や過去の履歴を再登録する手間があるなら、それは乗換えの負担です。その手間が小さくなっても、現在のサービスに必要な専門業者が多ければ、便益を理由に残る場合も考えられます。
一つの仕組みがあっても、ほかの条件は残る
業者が増えても、依頼の少ない地域や、対応外の機器ばかりなら、利用者の便利さは増えないかもしれません。一件当たりの費用も、問い合わせ対応やトラブル処理が増えれば、規模とともに下がるとは限りません。
乗換えに手間があっても、品質や料金の差が大きければ移る人はいます。複数のサービスを使える設定なら、参加者の多さが排他的な強さへ直結しない可能性もあります。いずれも、規模の数字だけでは確かめられない条件です。
見る資料を、仕組みごとに分ける
ネットワーク効果なら、参加者の種類、地域や分野ごとの組合せ、継続した取引を読みます。規模の経済なら、売上だけでなく費用の内訳や一件当たりの収支が材料です。乗換え負担なら、解約や移行の条件、データや業務手順の移しやすさなどが関わります。
会社が示す指標の定義や集計期間も同じとは限りません。これらの仕組みが利益へつながるか、さらに買う価格に対して見合うかは、別に残る問いです。比較の目的は、強みという一言を繰り返すことより、どの因果関係を確かめたかを分かるようにする点にあります。