戌笑いとは?意味と投資判断での使い方

年始の楽観を表す言い回し

年始の相場見通しで「今年は戌年だから、戌笑いに期待」と聞くことがあります。「戌笑い」は、戌年の相場が上向き、投資家が笑顔になれるという含みを持つ相場格言です。十二支に値動きのイメージを割り当てた言い回しの一つです。

ニッセイアセットマネジメントの2014年の資料にも「戌は笑い」という用例が載っています。ただし、言葉の存在が確認できることと、将来の相場に予測力があることは別です。本記事では、作者や成立年代を特定せず、干支を原因とする経済法則としても扱いません。

「笑う」が年末の株価上昇を指すのか、一時的な高値更新を指すのかでも評価は変わります。意味が曖昧なまま、後から都合のよい価格を拾えば、格言をいくらでも当たったように説明できます。

上がった回数と、利益の大きさは違う

実際の戌年の相場とは無関係に、架空の6回の年次収益率を、+6%、+4%、+3%、+2%、−5%、−16%と設定します。上昇は6回中4回なので、上昇した回数だけなら多く見えます。

しかし、収益率の合計は−6%、単純平均は−1%です。小幅上昇が複数あっても、大きな下落が平均を押し下げます。この仮例の回数や数字は、実在する指数の成績、次の戌年の予想確率ではありません。

単純平均は、一定資金を連続運用した複利の成果とも違います。格言の検証記事で「勝率」や「平均」と書かれていたら、何を数え、どの計算をしたのかを確かめないと、投資で得られる利益とは結び付きません。

同じ干支の観察は、見かけより少ない

十二支は12年に一度巡ります。同じ干支を6回集めても、最初と最後の間には60年があります。長い価格データを使った分析でも、特定の干支について得られる年数は限られます。観察数の少なさを、毎日の値動きの多さで補うことはできません。

その長い間には、産業構造、金融政策、為替制度、指数の構成銘柄も変わります。株価が動いた年が戌年だったという対応と、戌年であるために動いたという因果関係は区別が必要です。

調べるなら、対象市場、配当を含むか、前年末から当年末までを使うか、開始年と終了年を先に固定します。ほかの干支や全期間との比較も必要です。結果を見てから期間を変えると、偶然よく見える集計を選びやすくなります。

使い道は相場の話題を読むところまで

「戌笑い」は、年始の見通しに楽観が込められていると読み取るには使えます。しかし、その楽観がどの程度株価へ反映済みか、年末まで続くかは別途調べる問題です。干支だけで年初の需給を測ることもできません。

投資する理由を説明するなら、会社の利益見通し、財務、株価の水準、保有期間が必要になります。格言で関心を持った後にそれらを点検し、理由が残らなければ買わない。相場の文化として知ることと、注文の根拠にすることの境目はここにあります。

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