サンクコスト効果を知るメリット|投資判断で役立つ場面

三十時間調べても、買う義務は生まれない

ある会社について決算を読み、競合も調べて30時間を使ったとします。その間に株価が上がり、当初想定した価格で買えなくなった場合でも、勉強したから注文しなければならないわけではありません。今の価格で見込む収益と損失を比較し、見送る理由があれば調査段階で終えることもできます。

サンクコストは、すでに支払い、これからの選択では取り戻せない費用です。過去の出費が惜しいために、今後の不利な選択まで続けるのがサンクコスト効果です。

調査で得た知識と注文の理由を分ける

この考え方を知る利点は、調査を無駄にしないための注文を減らせることです。調査で得た業界知識や資料の読み方は残せますが、使った時間そのものは、これからの株価を上げる材料ではありません。調査量の多さを、購入金額の大きさや予想の正しさの証拠に変えないようにします。

使った時間を惜しまないために買うと、購入価格が当初の条件から離れていても見過ごしがちです。想定した利益や損失の範囲を今の価格で更新し、条件が合わなければ見送った理由を残します。見送った後に値上がりしても、当時の情報と条件で判断した記録は次の調査に使えます。

判断を変えた理由を記録へ残せる

保有後に元の仮説が崩れた場合、売却は調査全体を否定する行動とは限りません。例えば利益率が維持できるという仮定に対し、新しい資料で継続的な値下げが明らかになったなら、仮定を更新する理由があります。元の分析を消さず、何を見て判断を変えたかを書き足します。

失った時間やお金を取り返すために買い増すと、次の取引まで同じ会社の成否へ縛られます。現在の評価額を別の会社や現金へ置く案も比較すれば、過去を回復するという目標だけで選択肢を狭めずに済みます。ただし代替先のほうが必ず良い結果になる保証はなく、調査と費用の確認は新たに必要です。

機会費用を比べても、乗換えを急がない

保有継続を決める前に、今後の利益見通し、代わりの投資先、現金を持つ必要性を並べます。税や手数料など売却後に変わる費用は将来の費用なので、無視してよいという意味ではありません。

値下がりした事実だけで売却を決めるのも、この考え方の使い方ではありません。市場全体の一時下落か、購入時の競争力が失われたのかで、今後の見通しは違います。過去の出費を理由から除いた後にも、事業を確認する作業は残ります。

代替先の魅力を比べるときは、好調だった過去の成績だけを使わず、価格変動、換金の条件、資金用途も合わせます。「過去を忘れる」という掛け声で取引回数を増やすより、今の選択で変わる条件を具体的に並べるほうが、この考え方の利点を生かせます。

出典