悪い数字を見ただけで、判断を終えないようになる
赤字や減益の発表を見て、これなら株価は必ず下がると思ったのに、実際は違う動きになることがあります。悲観相場を知る利点は、数字の良し悪しに加え、その前にどこまで悪い結果が予想されていたかを考えられる点です。
株価には、企業の実績だけでなく、これからの利益への期待や金利、売買の需給なども影響します。市場の見方が暗い局面でも、各社の悪化の程度や財務の余力は同じではありません。
悲観相場という言葉を知るだけで割安株を選べるわけではありませんが、市場全体の雰囲気と、個別企業の変化を一括りにしないための問いを持てます。
前年より悪くても、直前の予想より改善する例
独自の仮想企業で、前年の営業利益が100億円、今期の会社予想が60億円だったとします。その後、新たな情報を反映して今期予想を70億円へ引き上げた場合を考えます。実在企業の予想ではありません。
70億円は前年100億円に比べれば30%減です。一方、従来予想60億円に対しては、70÷60−1で約16.7%の増加です。前年より悪いことと、直前の会社予想より良くなったことは、同時に成立します。
ただし、会社予想が市場参加者の予想そのものとは限りません。実際の株価反応を考えるには、発表前の価格や見方、改善の中身、次の期間への持続性まで材料が要ります。この比較だけで値上がりを計算したり、悪材料出尽くしを断定したりすることはできません。
改善の根拠を探す際、会社ごとの差が見えてくる
悲観が広がる場面にあえて読む価値があるのは、回復の言葉よりも、その前提です。販売数量が戻ったのか、費用が下がったのか、一時的な利益があっただけかで、同じ上方修正でも受け止め方は変わります。
財務の余裕にも差があります。資金を調達しなければ事業を続けられない会社と、必要な支出を手元資金で支えられる会社では、回復を待つ間のリスクが違います。株価が同じ程度下がったことだけでは比較が足りません。
反対に、良い変化を無視してしまうこともあります。暗い見通しをいったん持った後も、新しい情報によって見方を更新できるかが、悲観相場の理解を生かせる部分です。
逆張りを正解にするための言葉にはしない
周囲と反対に買えば成功する、と読み替えると、悲観を知る利点を失います。大勢が悪いと考えるのには実際の理由がある場合があり、自分だけが気付いた割安さとは限りません。購入を見送って追加情報を待つ判断もあります。
検討した根拠と、反対の結果なら見直す条件を残し、資金を使う時期と負える損失に収まる額で考えます。悲観相場を知るメリットは底値の合図を得ることではなく、暗い雰囲気の中でも比較する対象を具体的にできることです。