ダックカーブとは?実例でわかる投資判断の使い方

電力の課題が、そのまま売上になるわけではない

太陽光が多い時間帯と夕方で、ほかの供給に求められる量が変わるのがダックカーブの問題です。米国のエネルギー省や系統運用者は、昼の電力を蓄えて後に使う対応を説明しています。ただし、設備が役立つことから、特定の会社に十分な利益が残ることまでは決まりません。

電力の価格や受け取る対価は、地域、市場、契約、時間帯などで異なります。以下は、価格差の計算で何が見え、何が残るかを考えるための仮例です。現実の市場価格や、日本の制度による報酬額を紹介するものではありません。

一回の充放電を置いた独自の収支例

架空の蓄電事業者が、昼に50MWhを1kWh当たり5円で購入し、蓄電池に充電するとします。充放電を通じて売れる電力量が80%になると仮定し、夕方には40MWhを1kWh当たり15円で売れる場面です。必要な出力、接続、取引の条件は満たし、予定した価格と量で売買できたものとします。

1MWhは1,000kWhなので、購入費は5万kWh×5円=25万円です。売上は4万kWh×15円=60万円で、その差は35万円となります。単価差に購入した5万kWhをそのまま掛けると、失われる電力量を無視してしまいます。80%という値もこの説明の仮定で、すべての電池に共通する性能ではありません。

35万円は、設備を持つ利益の最終額ではない

例の差額には、設備導入、工事、接続、借入の利息、運転や保守、電池の劣化、取引費用や税などを入れていません。設備の寿命や交換の時期も設定していないため、この数字から投資額の回収年数や企業の純利益を求めることはできません。

また、同じ価格差で毎日取引できるという仮定も置いていません。天候や需要が違えば、充電したい時間や売りたい時間の価格、使える設備の状態も変わります。競合する設備が増えることも収入の条件へ関わるため、一日の差額をそのまま年間へ引き伸ばすと読み違えます。

企業の資料では、数字がどの段階かを読む

例に似た説明を投資先の資料で見るなら、示された金額が売上なのか、電力購入費だけを引いた値なのか、設備費などまで含む利益なのかを区別できます。単価の予想、充放電の回数、利用可能な容量、費用の対象が不明なら、採算の確認はまだ途中です。

設備の製造会社へ投資する場合も、この仮例の売電収入がそのまま製造会社へ入るわけではありません。納入額、原価、保守契約など、別の収益の経路をたどります。ダックカーブを出発点にしても、最後は会社がどの契約でお金を受け取り、何を支払うかへ戻る必要があります。

出典