利益を使えば、同じ複利計算にはならない
100万円を毎年3%で運用でき、利益を全て再投資すると仮定します。税や費用を除くと、1年後は103万円、2年後は103万円×1.03=106万900円です。2年目の利益3万900円には、初年度に得た3万円が生んだ900円も含まれています。元本に運用益を加えて次の収益を計算するのが複利です。
利益3万円を毎年生活費へ回すなら、運用する元本は100万円のままです。2年間の利益は6万円で、全て再投資した場合の6万900円とは異なります。「年3%」という数値だけを揃えても、引き出す条件が違えば、将来の残高は同じになりません。
平均の収益率だけでは残高を求められない
値動きする資産で、1年目に50%下落し、2年目に50%上昇したとします。100万円は50万円、その後75万円になります。上下の率を足せばゼロでも、資産は25万円減っています。値下がりした後は、上昇率を掛ける土台の金額が小さくなるためです。
2年で100万円が75万円になった例の年率換算は、0.75の平方根から1を引いた約マイナス13.4%です。これは毎年同じ率で減ったと置き換えた数字で、実際の年ごとの率とは違います。一定率の計算表と変動する運用成績を混ぜず、まず各年の率を順番に掛けて残高を求めます。
見かけの利回りと再投資できる額を分ける
預金なら利息を受け取る時点の税、投資信託なら信託報酬などの費用、分配金を受け取る場合の扱いを確認します。広告の率をそのまま資産額へ掛ける前に、税引前か、費用控除後かを揃えます。商品によって異なる条件を、一律の率で二重に控除しないよう注意します。
たとえば、税を考えない単純化した条件で運用前の収益率が年4%、資産額に対する年1%の費用を期首残高基準で差し引くなら、再投資に回せる増加率は年3%です。実際の費用は日々の資産額などを基準に計算されるため、この例が全商品の正確な計算式になるわけではありません。
年数の力を、確実な利益へ読み替えない
年3%を20年続ける式は100万円×1.03の20乗です。約180万6,000円になる計算は、毎年同じ収益率が続き、途中で資金を引き出さないという条件付きです。長く持てば必ずその金額になるとの予想には使えません。
使う日が決まった資金なら、直前に下落した場合にも支払えるかを別に確かめます。積立を加えるときは、最後の年に入れるお金まで20年間運用した計算にしません。複利の試算で見るのは、大きな最終額だけでなく、いつ入金し、いつ再投資し、どこで引き出すかという資金の動きです。