「小さいから伸びる」を、検証できる問いに変える
知名度の低い会社を見つけると、大企業より成長余地が大きそうに感じます。小型株効果を知る利点は、その期待を、規模によるリターンの違いとして整理できることです。ただし、小型というだけで事業が成長するわけではありません。
小型株効果は、時価総額の小さい株の集合が、大きい株の集合などと比べて高い収益率を示す傾向として論じられるものです。時価総額は株価と株数から決まる会社の市場評価額で、1株の値段が安いかどうかとは違います。
どの市場の何社を小型に分類したか、どの期間を測ったかで結果は変わります。一つの成功銘柄を見つける話と、規模で分けたポートフォリオの性質を調べる話は分ける必要があります。
参考価格の上昇が、そのまま自分の利益にはならない
架空の小型株で、参考にした直近価格が1,000円でも、実際には1,005円で100株買い付けたとします。後日の参考価格は1,050円へ上がりましたが、自分の売却は買い注文のある1,040円で成立したケースです。
購入代金は10万500円、売却代金は10万4,000円で、利益は3,500円。購入額に対して約3.48%です。参考価格同士では+5%ですが、自分が売買できた価格では違います。税金、手数料、配当は除いた説明用の設定で、実際の銘柄や常に生じる価格差ではありません。
売買が薄い銘柄や大きな注文では、この実行価格の問題が効きます。小型株がすべて売りにくいという意味ではありませんが、過去の指数のリターンを見るだけでは自分の取引費用を測れない点は残ります。
規模と、ほかの特徴を分ける利点がある
小型株の成績が良かったとしても、特定業種への集中や、割安株・成長株の割合が影響している可能性があります。Frenchの因子の説明では、小型側と大型側の複数の組み合わせから収益率の差を計算しています。これは研究上の分類方法で、単純にどれか一つの小型株を買うことと同じではありません。
保有する投資信託でも、名前の違う商品が似た小型株を多数持っていれば、分散したつもりで同じ特徴へ集中する場合があります。投資先の規模、地域、業種を確認する材料になることは、この知識の実用的な利点です。
個別株なら、成長投資を賄う現金、借入れへの依存、利益の安定性、追加の株式発行による既存株主への影響まで見ます。小さい会社ならではの成長余地と、資金の余裕が少ないリスクは同時に点検します。
大きな利益の約束より、比較条件をそろえる
小型株効果の説明を使って市場平均を上回る運用を考える場合も、購入価格、費用、銘柄入替え、保有期間が必要です。上場廃止になった会社を除いた成績や、後から伸びた会社だけを選んだ例では判断できません。
株価が大きく動くこと自体は、得られる利益の大きさではありません。売れる数量や損失への耐性を含めて購入額を決められるか、保有商品の特徴を比べられるか。この二つへ知識をつなげると、「小型は有利」という一言で注文を決めることを避けられます。