十年待ったことは、次の一年の根拠になるか
「十年待ったのだから、あと少しだけ」という気持ちで保有を延長することがあります。しかし待った時間そのものが、会社の黒字化や株価回復を生むわけではありません。
サンクコストは、すでに支払い、これからの選択では取り戻せない費用です。過去の出費が惜しいために、今後の不利な選択まで続けるのがサンクコスト効果です。長期方針を守ることと、購入理由を検証しなくなることは分けます。
長期の計画と、見直さない状態を区別する
長期投資では、短い価格の下落だけで方針を変えないことがあります。それと、購入理由が崩れたのに保有年数を理由として残すことは違います。例えば五年間待った一社が赤字を続けている場合、五年という時間を費やした事実は、次の一年に黒字化する根拠ではありません。今の受注、採算、資金繰りを確認します。
見直しのたびに「あと一年」を足すなら、その延長に新しい証拠があるかを書きます。会社が改善策を示した場合も、確認する数字と予定時期を残します。計画した期限を過ぎても同じ説明を繰り返すなら、待つ判断を独立した新規投資として再評価できます。
資金を使う時期が変われば、判断も変わる
購入時は十年使わない予定だったお金でも、収入や家族の事情で近い支出が必要になる場合があります。これまで長く持ったからという理由で売却を先送りすると、支払いの日に価格が不利でも売らなければならなくなる可能性があります。資金の用途は、過去の保有期間とは別に点検します。
過去の取得価格を忘れればよいという単純な対応ではなく、今売る場合の費用、保有を続ける場合の価格変動、必要現金額を比べます。部分売却で支出分だけ確保する案もあります。以前決めた長期方針を守るために現在の家計を不安定にするのではなく、残った資金をどの期間で運用できるかへ計画を更新します。
保有年数と取得価格は記録として残す
取得価格を忘れる必要はありません。投資成績の検証や税の確認には記録が必要です。将来の保有を決めるときは、過去の価格へ戻ってほしい希望と、現在確認できる事業の根拠を別の欄に書きます。
元の仮説がまだ支持されているなら、下落を経て保有を継続する理由になり得ます。仮説が変わった場合も、新しい事業へ投資する判断として引き受けられるかを考えます。保有期間が長いという理由だけで判断のハードルを下げず、残る評価額を今からどこへ置くかという比較を続けます。