仕組みの説明と、観察した連動の数字を分ける
シーソーという比喩は、ある条件で一方の変化がもう一方へ逆向きに作用する関係を考える言葉です。それに対して相関係数は、選んだデータの中で二つの系列がどう連動したかを示す数値です。マイナス1からプラス1の範囲で表しますが、その数値だけで因果関係が証明されるわけではありません。
資産運用では、同じ時期の収益率の連動を比べる際に使われます。ただし、違う通貨や期間、配当の扱いを混ぜると、比べる対象がそろいません。名称の違う資産を二つ選んだだけで、逆に動く仕組みが備わるという意味でもありません。
負の相関でも、同時に下がる独自の四期間
架空の資産AとBについて、同じ長さの四期間の収益率を作ります。どちらも同じ通貨で、配当や費用を含まない価格の変化です。実際の株式や債券の過去データではありません。
| 期間 | Aの収益率 | Bの収益率 |
|---|---|---|
| 1 | +10% | マイナス5% |
| 2 | マイナス10% | +5% |
| 3 | +5% | マイナス8% |
| 4 | マイナス5% | マイナス2% |
この四組のピアソン相関係数は約マイナス0.85です。それでも4番目の期間では両方が下がっています。この期間の初めに100万円を半分ずつ持ち、入出金や売買をしなければ、終わりの合計は96万5,000円です。負の相関があるという説明と、損失が出ないという約束は違います。
相関の値は、選んだ期間にも依存する
例の四期間は少ない独自データなので、現実の組合せの推定に使えるものではありません。相関の符号や強さはデータに依存し、過去の観察が将来も同じになるとは決まりません。極端な時期を除いた結果だけを見ると、必要な場面の負担を見落とす場合があります。
相関が低い資産の組合せを考える際も、それぞれの値動きの大きさや保有割合で、全体の振れ方は変わります。相関係数だけを順に並べても、自分がどれだけ損失に耐えられるかや、どの時期に資金が要るかは答えられません。
比喩、統計、投資額を別々に読む
金利と債券価格のような仕組みの説明を聞いたら、固定された支払条件などの前提を読みます。資産間の相関を示されたら、何の収益率を、どの期間と頻度で計算したかへ進めます。どちらも「いつも逆に動く」という一文へ縮めないことが必要です。
そのうえで、保有額や資金の期限を考える段階が残ります。分散は価格変動を抑えることを目指す方法で、元本を保証する制度ではありません。比喩の分かりやすさや相関の小ささを、損失への備えを省いてよい理由にしない読み方ができます。