売りが増えて見えることと、全員が怖がることは同じではない
恐怖相場は、将来の悪化への不安が広がり、売却や現金の確保が強まりやすい局面を表す一般的な言い方です。統一された下落率の基準や、相場の底を知らせる定義として使うものではありません。
価格が下がっていても、売る人の理由は一つではありません。見通しを悪く考えた人だけでなく、返済や生活費のために現金が必要な人、運用比率を調整する人もいます。チャートだけから、全員の心理を測ったことにはなりません。
不安と資金の事情が重なる場面を考える
独自の検討場面として、価格が下がった市場で、損失への不安から売りたい人と、近く支払いがあって売る人が重なったとします。現在の価格近辺で買いたい量が十分でなければ、より低い価格で取引が成立する場合があります。
さらに価格が下がると、不安が増したり、契約上の追加資金が必要になったりして、別の売りが出る可能性もあります。これは連鎖が生じる経路の説明で、すべての下落が同じ順序で起きるという主張ではありません。
取引が成立する時には相手の買いもあります。「売る人しかいない」という言い方を、実際の売買人数や数量の説明として受け取らない区別も必要です。
VIXの数字は、不安そのものの点数ではない
比較材料としてVIXを見る場合、それは米国S&P 500のオプション価格に基づく、30日先の予想変動率を年率で表した指標です。Cboeは、上昇か下落かという方向を予測する数字ではないと説明しています。
したがって、高い値なら必ずその割合だけ下がる、一定値を超えたから底だ、と読むことはできません。日本の個別株の値動きや、すべての投資家の感情を直接表す指標でもありません。実際の変動が予想どおりになる保証もありません。
恐怖という呼び名だけで、保有を続ける理由を作らない
不安のために過度な売却をした可能性は考えられても、下落には事業の悪化が伴う場合もあります。「皆が怖がっているだけ」と決めると、会社の新しい情報を見落とすおそれがあります。
資金をいつ使うか、保有先がどのように稼ぐか、売買や換金がどの程度できるかを分けて読みます。恐怖相場を知ることは、感情と資金の制約を整理する助けになりますが、反発日や適切な購入額を自動的に決めるものではありません。