黒鳥理論とは?意味と投資での見方

珍しい出来事という意味だけでは足りない

めったに起きない大きな事故なら、すべて黒鳥なのか、と考えると概念を広げ過ぎます。ブラックスワンは、Nassim Nicholas Talebが論じた、通常の予想の範囲を外れる影響と、私たちの知識の限界を考える言葉です。

著者公開の序文では、予想の外にあること、影響が大きいこと、起きた後には予見できたような説明を作ることという特徴が挙げられます。投資では、経験した範囲を世界のすべてだと思わないための視点として使えます。

過去36か月の最大下落は、将来の限界ではない

独自の仮想場面で、ある運用の記録が36か月分だけあり、その中で最も大きい月間下落が5%だったとします。ここから分かるのは、その観測期間の最大の下落です。これからも5%より下がらないという保証ではありません。

その期間に大きな変化を経験しなかっただけかもしれず、運用や市場の条件自体が変わる可能性もあります。観測数と記録の範囲だけでは、次の大幅下落の確率を一意に計算することもできません。

この仮例は、特定の商品や市場の実績を示すものではありません。データを無視するという話でもなく、観測した事実と、そこから先へ追加した推測を分ける場面です。

誰にとって予想外かと、事後の説明を区別する

同じ出来事でも、事前に内部事情を知っていた人と、外から資料を読んでいた人では、予想の範囲が違う場合があります。Talebの序文も、黒鳥をすべての観察者に共通の客観的な分類として扱う誤解に触れています。

また、出来事の後に原因を並べられることと、その前に時期や影響を十分に知れたことは別です。後から明らかになった情報を使って、当時も必ず避けられたと決めないようにします。

予想できた問題を放置した場合もあり、何でも黒鳥だったと呼べば、準備の不足を具体的に見直す機会を失います。

予測の精度に加え、外れた時の条件を読む

投資では、保有資産の金額だけでなく、借入の返済、近く必要な現金、売却に掛かる時間、収入への依存を点検します。価格の予想が外れた時、追加資金を急に求められたり、売りたい時に売れなかったりすると、損失が生活へ届きやすくなります。

Talebらの2012年の研究は、ストレスを与える計算でも、前提やモデルが違えばリスクを小さく見積もる場合を論じています。想定を置いた計算は準備の助けになりますが、計算した範囲の外まで安全を証明するものではありません。

出典