偏りを見つけ、調べる順番を決める
売買の記録が増えると、どの取引を見直すべきか迷います。そこで、損失や費用を大きい順に並べ、影響の大きい項目から原因を調べる方法が使えます。品質管理で使うパレート図も、件数や費用などを大きい順に整理する道具です。投資でも、全ての記録へ同じ時間をかける前に、重点を付ける用途が考えられます。
80と20は、結果が必ず一致する比率ではありません。実際の記録が70対30や90対10に近くても、偏りを確認する意味はあります。「利益の80%を生む銘柄が必ず20%ある」と先に決めると、データをその説明へ合わせることになります。
10銘柄の利益が偏った仮想例
同じ期間に保有した10銘柄について、2銘柄の利益がそれぞれ5万円、3万円、残る8銘柄の利益合計が2万円だったと仮定します。全て利益が出ており、手数料・税・配当は除きます。合計10万円のうち8万円、つまり80%を、銘柄数の20%である2銘柄が生んだ計算です。
これは結果の整理です。購入前にその2銘柄を識別できたことも、次の期間も同じ2銘柄が稼ぐことも意味しません。元の投資額が他より大きければ利益額が大きくなるため、金額への寄与と収益率も分けて見ます。結果だけから「残り8銘柄は不要だった」と判断すると、当初引き受けた不確実性を無視します。
利益と損失が混在すると、分母に注意する
たとえば利益10万円の銘柄と損失8万円の銘柄がある場合、差引利益は2万円です。利益10万円を差引利益2万円で割ると500%になりますが、これを全体の構成比として棒や円にすると意味が変わります。損失があるのに、全て正の値の累積比率と同じには扱えません。
振り返りでは、利益を生んだ取引の合計と、損失を生んだ取引の合計を別に整理する方法があります。入金額や保有期間、売買回数も揃えます。損失額が大きい理由が、銘柄の見立て、投入額、損切りの遅れのどれなのかを調べれば、次に変える行動へつながります。
調査時間を減らす前に、何を省くかを決める
仮に1週間の調査時間10時間のうち、保有していない話題株の値動き確認へ8時間使っていたなら、現在の保有先の決算や借入条件を読む時間へ配分を変える案が考えられます。ただし、これは時間の使い方の見直しであり、2時間の調査だけで投資成果の80%が得られるという実証ではありません。
分散投資の銘柄を減らす判断にも、この比率を直接当てはめません。記録の偏りを見つけた後は、それが投入額の差や偶然、相場環境によるものかを確認します。80対20の考え方のメリットは、断定的な集中投資へ進むことではなく、限られた調査時間をどこへ使うかを具体化できる点にあります。