損切りできない心理を長期投資に生かす視点

長期という言葉だけでは保有理由にならない

損切りできない心理は、損失を確定したくないため、売却や保有縮小を検討する必要を先送りする状態です。保有中だから損失が存在しないわけではなく、現在の資産価値は変わっています。一方、値下がりしただけで必ず売るという方針が、すべての長期投資に合うわけでもありません。

分けたいのは、長い時間で収益を得る根拠が残っている保有と、買値へ戻ってほしいだけの保有です。長期投資という言葉を使っていても、会社や商品の変化を調べなければ、その区別はできません。

100万円から70万円へ下がった後の回復率

架空の株式を100万円で購入し、現在の評価額が70万円になったとします。費用、税金、配当を除く含み損は30万円で、買値へ戻るには70万円から約42.9%の上昇が必要です。さらに50万円へ下がれば、戻るためには100%の上昇が必要になります。

この計算は、時間をかければその率を得られるという予測ではありません。損失後は回復に必要な率が大きくなるため、買値との差額だけで判断を済ませないための数字です。保有を続けるなら、今の70万円をその会社で持つ理由と、見通しが外れたと判断する条件を残します。

市場全体の下落と事業の悪化を分ける

分散型の商品が市場全体とともに下落しても、組入対象や長期の目的が変わらず、必要な生活資金も別にあれば、継続する理由が残る場合があります。それでも商品の費用や資産配分、資金を使う時期は確認します。

一社の株で、主力事業の採算が崩れ、借入の返済や事業継続の見通しが悪化した場合は別の点検が必要です。過去の利益を前提にした買値へ、当然戻るとは考えられません。短期の価格変動と、将来収益を支える条件の変化を分けます。「長期なので決算を見なくてよい」とはせず、保有理由に関わる資料を更新します。

見直す日と臨時の条件を決めておく

長期の記録には、保有目的、投資期間、資産全体の比率、見直す情報を残します。定期的に確認する日を決め、会社の重大な開示や家計の資金需要など、臨時に見直す条件も別に置きます。次の確認で何が変われば数量を減らすかまで考えます。

全保有か全売却かだけでなく、保有量を減らして調べ直す案も比較できます。ただし、一部を売ればその後の値上がり益は小さくなり、残した分には値下がりが続く可能性があります。一定率で機械的に売る方法にも、短期の変動で売買を繰り返す弱点があります。個別株と分散商品を同じ率だけで扱わず、自分の期間と目的に合う条件を点検します。

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