まず結論
特定証券情報は、金融商品取引法上の「特定取得勧誘」や「特定売付け勧誘等」に先立ち、投資家へ提供または公表される情報です。有価証券の条件だけでなく、発行者の事業や財務など、投資判断に必要な基本情報を伝える役割があります。
株式ではTOKYO PRO Market、債券ではTOKYO PRO-BOND Marketの新規上場・発行時などで見かけます。名称に「特定」とありますが、発行者側の区分を指す「特定発行者」や、投資家区分を指す「特定投資家」とは別の用語です。
何を確認できるのか
書式は市場や証券の種類によって異なりますが、内容は大きく二つに分けて読むと理解しやすくなります。
| 情報の区分 | 主な確認点 |
|---|---|
| 有価証券に関する情報 | 株式・債券の種類、発行条件、募集・売出しの内容、資金使途など |
| 発行者に関する情報 | 事業内容、リスク、経営体制、財務諸表、監査など |
新株発行を伴う場合は、発行価格、発行株数、調達資金の使い道に加え、既存株主の持分が薄まる可能性も確認します。債券なら利率、償還期限、弁済順位などが重要です。
発行者情報・有価証券届出書との違い
| 書類・情報 | 主な場面 | 役割 |
|---|---|---|
| 特定証券情報 | プロ向けの発行・売付けや新規上場 | 勧誘前に証券と発行者の情報を示す |
| 発行者情報 | プロ向け市場での継続開示 | 上場・発行後の会社の状況を定期的に示す |
| 有価証券届出書 | 一般投資家を含む公募・売出しなど | EDINETを通じて募集前の情報を開示する |
特定証券情報は、機能としては有価証券届出書に相当すると説明されます。ただし、プロ向け市場の制度に基づく情報であり、有価証券届出書そのものではありません。また、すでに有価証券報告書や発行者情報を継続開示している発行者は、一定の範囲で既存書類を参照する方式を使える場合があります。
公表後に訂正されることもある
提供・公表した内容に訂正が必要になった場合、発行者は訂正特定証券情報を提供・公表します。金融商品取引法では、原則として特定証券情報を公表した日から1年間、公衆が閲覧できる状態に置く仕組みも定めています。
最初の資料だけを保存して終わりにせず、訂正版が出ていないか、その後に発行者情報や適時開示が公表されていないかを確かめることが大切です。
どこで探せるのか
TOKYO PRO Marketの新規上場会社については、日本取引所グループの「新規上場会社情報」で、上場日までの特定証券情報などを確認できます。上場後の書類は、同サイトの上場会社検索や発行会社のIRページで探します。一般の公募に使われる有価証券届出書とは掲載場所が異なる点に注意してください。
読む順番
初心者は、次の順で確認すると重要点をつかみやすくなります。
- 表紙で公表日、対象証券、訂正の有無を見る
- 発行条件、調達額、資金使途を確認する
- 事業内容、業績推移、財務状態を読む
- 事業リスク、監査、関連当事者取引を確認する
- その後の発行者情報や適時開示と照合する
プロ向け市場は参加者が限定され、銘柄によっては売買が少ないことがあります。開示内容だけでなく、価格形成や換金のしやすさも含めて判断しましょう。
※制度・掲載状況は2026年8月1日時点の情報です。
出典
- e-Gov法令検索「金融商品取引法」
- 日本取引所グループ「新規上場会社情報(TOKYO PRO Market)」
- 日本取引所グループ「TOKYO PRO Market 提出書類フォーマット」
- 日本取引所グループ「TOKYO PRO-BOND Marketとは」