まず結論
クロスデフォルトは、1つの債務不履行が他の契約にも波及する条項です。A銀行への返済遅延が起きたとき、B銀行の借入や社債でも「期限の利益」を失い、予定より早い返済を求められることがあります。
つまり、借入の問題は一本ずつ独立しているとは限りません。ひとつの小さな遅延が、会社全体の資金繰りを急に固くすることがあります。
なぜ連鎖するのか
貸し手から見ると、他の債務で不履行が起きた会社にそのまま貸し続けるのは危険です。そこで契約に「他の債務でデフォルトが発生した場合も、この契約上のデフォルトとみなす」という条項を入れます。
株主にとって怖いのは、損益計算書より先に資金繰りが詰まる点です。まだ事業に価値があっても、同時に返済を求められると時間が足りません。そこで増資、資産売却、事業譲渡、私的整理の話が出てきます。
投資家が確認する順番
| 見る項目 | 読み方 |
|---|---|
| 短期借入金 | 1年以内に返す必要がある金額 |
| 現預金 | 返済と運転資金を何カ月支えられるか |
| コベナンツ | 財務条件に近づいていないか |
| 注記 | 期限の利益喪失、金融機関との協議の有無 |
開示で「期限の利益喪失事由」「クロスデフォルト条項」「一括返済請求」という言葉が出てきたら、かなり資金繰り寄りに読みます。利益の回復見込みだけでなく、返済期限までに現金が足りるかを見ます。
まとめ
クロスデフォルトは、債務不履行の連鎖を生む契約上の仕組みです。普段は表に出ませんが、経営危機では一気に重要になります。
投資家は、赤字、債務超過、ゴーイングコンサーン注記、コベナンツ抵触が同時に出ていないかを確認します。数字は良くなりそうでも、返済期限が先に来るなら、株価はそこを見ます。