額面が増えても、買える量は減ることがある 名目賃金+2.3% 実質賃金−1.3% 2025年・前年比(厚生労働省確報) kabutrack.com

名目賃金と実質賃金の違い

給与明細に書かれた金額の変化が名目賃金です。実質賃金は、その名目賃金を物価指数で調整し、商品やサービスを買う力が増えたかを見る指標です。

考え方を単純化すると、次の関係です。

実質賃金の伸び ≒ 名目賃金の伸び − 物価の伸び

たとえば給与が3%増えても、生活に必要な物の価格が4%上がれば、購買力はおおむね低下します。厳密な実質賃金指数は、指定された消費者物価指数で割って計算するため、単純な引き算とはわずかに異なります。

2025年の数字は何を示すか

厚生労働省の2025年分確報では、事業所規模5人以上の現金給与総額は前年比2.3%増でした。持家の帰属家賃を除く総合指数で実質化した賃金は1.3%減です。名目賃金は5年連続で増えましたが、物価上昇に追いつかなかった構図です。

総務省の消費者物価指数は、2025年平均の総合指数が前年比3.2%上昇、生鮮食品を除く総合が3.1%上昇したとしています。食料は6.8%上昇しており、食費の割合が高い世帯では平均以上の負担を感じることがあります。

平均と自分の家計は一致しない

実質賃金は景気を読む重要な指標ですが、個人の生活をそのまま表すものではありません。

  • 賃上げ率は勤務先、雇用形態、年齢で違う
  • 支出の構成は世帯人数や住む地域で違う
  • 持ち家と賃貸では住宅費の動きが違う
  • 税や社会保険料を含む手取りの変化とは別の指標である

自分の実感を確かめるなら、前年と今年の手取り、固定費、食費、貯蓄額を同じ期間で比べます。全国平均がプラスでも家計が苦しくなる人はおり、反対もあります。

経済的虚無主義との関係

額面上は昇給しているのに生活水準が上がらない状態が続くと、「働いても変わらない」という感覚が生まれます。ここで短期投資による一発逆転へ進むと、元本割れで家計をさらに弱くする危険があります。

実質賃金の低下は仕事の意味が消えた証明ではなく、一期間の平均的な購買力が落ちたという情報です。賃金交渉や働き方、固定費、長期の資産形成を、それぞれ別の時間軸で考える材料にします。

まとめ

給料が増えたのに豊かになれない矛盾は、名目と実質を分けると理解できます。2025年は名目賃金が増えても、物価調整後の実質賃金は減りました。ただし、平均値だけで自分の状態や将来を決めつけず、手取りと実際の支出を確認することが大切です。

出典

関連記事