通知は「重要」と「緊急」を混ぜる
決算発表や約定の通知は便利です。しかし、値上がり率や話題銘柄の通知が繰り返されると、重要だからではなく動いたから見る習慣ができます。市場は常にどこかが動くため、終わりがありません。
通知を受け取った瞬間の情報量は少なく、買う理由、価格の妥当性、資産配分までは分かりません。それでもスマホを開けば注文まで進めます。
ランキングは自分向けの推奨ではない
売買代金、値上がり率、閲覧数のランキングは、市場の一断面です。上位はすでに大きく動いた銘柄であることも多く、将来の収益や安全性の順位ではありません。
SNSの投稿数も同じです。人数が多いことは事実の正しさを保証せず、投稿者が同じ情報を見て反応しているだけかもしれません。
実験で確認された影響
FCAが9,000人超に行った実験では、価格の点滅、プッシュ通知、トレーダー順位、ポイント・抽選を比較しました。プッシュ通知やポイント・抽選は取引回数を増やし、若年層など一部の集団で影響が大きい証拠もありました。
設計には、投資教育を読ませる、リスク警告を示すといった良い使い方もあります。IOSCOもアクセスや金融知識を高める面と、過剰売買や利益相反の両面を挙げています。
機能別の設定
- 約定、入出金、不正アクセスなど管理通知は残す
- 値上がり、人気、連続ログインの通知は必要性を見直す
- ランキングから直接買わず、一次情報を確認する
- SNSと証券アプリを同じ時間帯に開かない
アプリの初期設定が自分の運用目的に合うとは限りません。設定画面も投資判断の一部です。
まとめ
通知、ランキング、SNSは、市場を理解する材料にも、反射的な注文のきっかけにもなります。見るべきなのは表示内容だけでなく、その表示が何をさせようとしているかです。必要な管理通知と、売買を急がせる刺激を分けると、アプリの便利さを保ったまま判断を守れます。
出典
- FCA「Digital engagement practices: a trading apps experiment」
- IOSCO「Public Reports―Digital Engagement Practices」
- FINRA「FinTech―Gamification」