まず結論
ToSTNeT(トストネット)は、東京証券取引所で通常の立会市場とは別の方式で行われる取引です。大口の単一銘柄取引、複数銘柄をまとめる取引、終値での取引、企業の自社株買いなどに使われます。
証券取引所で行われるため「普通の株注文の一種」と見えますが、誰でも同じ画面から同じ条件で注文できるとは限りません。個人投資家にとっては、企業の自社株買い発表を読むときに、通常の市場買い付けと区別するための知識として役立ちます。
ToSTNeTの4つの取引方法
| 区分 | 主な用途 | 価格の考え方 | 見るポイント |
|---|---|---|---|
| ToSTNeT-1・単一銘柄 | 1銘柄の大口取引 | 直近の立会市場の価格を基準に一定範囲内 | 相手方、数量、決済日などの条件が指定される |
| ToSTNeT-1・バスケット | 複数銘柄をまとめた取引 | 構成銘柄の価格から計算した基準額を使う | 15銘柄以上、総額1億円以上が基本条件 |
| ToSTNeT-2・終値取引 | 終値やVWAPでの取引 | 終値または時間帯に応じたVWAPを基準にする | ポートフォリオ調整などに使われる |
| ToSTNeT-3 | 発行会社の自社株買い | 前日終値などを基準にする | 買い手は発行会社に限られ、売り注文の配分方法も異なる |
ToSTNeT-1の単一銘柄取引では、直近の立会市場の価格から上下7%以内(7%相当額が5円未満の場合は上下5円以内)が価格範囲の目安です。バスケット取引は、構成銘柄の価格から計算した基準額の上下5%以内で行われます。これは、成行注文を出して市場価格を大きく動かす取引とは性格が異なります。
取引時間と価格を確認する
JPXの2026年9月18日現在の案内では、単一銘柄取引と終値取引の取引時間はおおむね8時20分から18時までです。バスケット取引は、前日VWAP、前場VWAP、後場または通日VWAPを使う時間帯に分かれます。ToSTNeT-3は、8時20分から8時45分、11時30分から12時15分、15時30分から16時30分という時間帯で取引されます。
ただし、取引時間や価格の基準は取引区分ごとに異なり、JPXの制度改定で変更されることがあります。記事や開示資料で「ToSTNeT-3による自社株買い」と見た場合も、予定された買付枠の金額が、そのまま実際の買付金額になるわけではありません。
個人投資家が確認する順番
自社株買いのニュースを見て、保有株を売るか迷ったときは、次の順番で確認します。
- 発表がToSTNeT-3なのか、通常の市場買い付けなのかを読む。
- 買付期間、買付価格、買付予定数と、取引が実施される時間帯を確認する。
- 利用中の証券会社が注文を受け付けるか、受付方法と締切時刻を確認する。
- 取引後の開示で、予定ではなく実際に何株買い付けられたかを見る。
JPXも、ToSTNeT-3の注文方法などは証券会社に問い合わせるよう案内しています。証券会社によって画面、受付時間、信用取引やNISAでの扱いが違う可能性があるため、「ToSTNeTだから必ず自分も参加できる」とは考えない方が安全です。
注意点
ToSTNeT-3は、会社が一定価格で自社株を買う制度ですが、保有者の売り注文がすべて約定するとは限りません。買付数量を超える売り注文が集まった場合は、取引所が定める方法で配分されます。また、買付価格が通常の市場価格より有利になると決まっているわけでもありません。
自社株買いは需給や株主還元を考える材料の一つですが、それだけで株価の上昇や約定を予測することはできません。価格、時間、注文方法、実績開示を分けて確認し、分からない条件が残る場合は証券会社の最新案内を確認します。
まとめ
ToSTNeTには、単一銘柄、バスケット、終値、自己株式立会外買付の4種類があります。特にToSTNeT-3は自社株買い専用で、通常の市場注文とは価格の決まり方や売り注文の配分が異なります。
ニュースを読むときは、取引区分、価格、時間、予定数量と実績数量の4点を切り分けると、制度と投資判断を混同しにくくなります。