自己株式消却とは?自社株買いとの違いと株数の変化

「買う」と「消す」は別の段階

自己株式消却とは、会社が保有している自社株を消滅させ、再び発行できない状態にすることです。市場から株を買い戻す「自社株買い」と混同されがちですが、買い付けと消却は別の行為。会社が買い戻した株を金庫株として保有し続けることも、後に消却することもあります。

ニュースで「消却」と出たら、まず発表資料の株数と実施日を見ます。消却されるのは会社保有分なので、株主が持つ株が取り上げられるわけではありません。会社が自己株式を100万株消却しても、株主一人ひとりの持ち株数が直接変わるわけではありません。

1株当たりの数字はどう動くか

発行済株式数が減れば、利益が同じという前提ではEPS(1株当たり利益)が上がる方向に働きます。ただし、自社株買いで既に自己株式を取得した時点で、EPSの計算に使う期中平均株式数が減っている場合があります。消却した日だけを見て、利益が増えたように受け取るのは早計です。

消却は会社の資金を市場へ戻す行為でもありません。現金が出ていくのは通常、株を買い付けた局面です。消却の発表だけでキャッシュが新たに減るわけではなく、事業の稼ぐ力が急に変わるわけでもありません。

IRで気になるのは消却の背景

発表資料では消却数だけでなく、保有自己株式の規模、今後の株式報酬やM&Aへの活用方針も読みたいところです。会社によっては、保有株を役員・従業員向け報酬や資本提携に使う選択肢を残します。消却は株主還元の一つですが、消却しただけで株価上昇や企業価値向上が約束されるものではありません。

たとえば発行済み1億株のうち500万株を消却する場合、消却比率は5%です。比率を把握すると規模感はつかめますが、評価には利益・財務余力・他の株主還元策も関係します。「消却した」ことより、その会社がなぜ今その判断をしたのかを説明資料で追うと、資本政策の読み違いを減らせます。

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