まず結論
今回の価格改定は、原材料費、人件費、エネルギーコストの上昇に対する採算改善策だ。フード・ドリンクとテイクアウトは1品20円、食べ飲み放題の「トリキ晩餐会」は200円上がる。いずれも税込価格では約5.1%の引き上げとなる。
値上げだけなら利益率には追い風だが、外食では客数が落ちれば効果が薄れる。価格改定後の既存店売上を、客単価と客数に分けて読む必要がある。会社は今回の発表で業績への影響額を示していない。
何が起きたか
「焼鳥屋 鳥貴族」を国内で運営するエターナルホスピタリティジャパンは2026年9月10日、同年10月1日9時から全店の販売価格を改定すると発表した。上場会社は持株会社のエターナルホスピタリティグループ(3193)で、発表主体は傘下の国内運営会社となる。
同社は2016年からフードメニューの食材を国産化し、店舗運営の改善、仕入れの見直し、フードロス削減を続けてきた。一方、国産鶏肉や野菜などの原材料費に加え、人件費とエネルギーコストも上昇しているとして、今回の改定に踏み切った。
発表内容のポイント
| 区分 | 改定前 | 改定後 | 値上げ幅 |
|---|---|---|---|
| フード・ドリンク | 税込390円 | 税込410円 | 20円 |
| トリキ晩餐会 | 税込3,900円 | 税込4,100円 | 200円 |
| テイクアウト | 税込390円 | 税込410円 | 20円 |
フード・ドリンクの税抜価格は355円から373円、トリキ晩餐会は3,546円から3,728円、テイクアウトは362円から380円へ変わる。適用開始は2026年10月1日(木)午前9時で、対象は全店だ。
短期業績への見方
直近の2026年7月期第3四半期累計は、売上高383.18億円(前年同期比13.3%増)、営業利益23.67億円(同16.9%増)だった。営業利益率は約6.2%で、売上の伸びが利益にもつながっていた。
今回の改定は次期に入ってから実施される。単純計算では各価格帯の引き上げ率は約5.1%だが、実際の業績効果は注文構成、来店頻度、客数、値上げ後も続くコスト上昇で変わる。改定率をそのまま増収率や増益率として扱うのは早い。
株価材料として見るポイント
1. 客単価の上昇を客数減が打ち消さないか
鳥貴族は均一価格が分かりやすさの柱だ。20円の引き上げ後も値頃感を保てるか、価格に敏感な顧客の来店頻度が変わるかが最初の確認点になる。
2. 原材料費と人件費をどこまで吸収できるか
会社が挙げたコストは鶏肉・野菜などの原材料、人件費、エネルギーと広い。売上高が伸びても、これらの上昇が続けば利益率の改善は限られる。次の決算では売上より営業利益率を先に見たい。
3. 「トリキ晩餐会」の需要が維持されるか
トリキ晩餐会は3,900円から4,100円へ上がる。グループ需要の取り込みに影響が出るか、通常注文との構成比がどう変わるかは、客単価の質を判断する材料になる。
リスクと確認点
- 今回の開示には、売上高・利益への具体的な影響額がない
- 値上げ後に客数や注文点数が減れば、単価上昇の効果は弱まる
- 原材料費、人件費、エネルギーコストがさらに上がると、価格改定後も採算改善が限定される
- 全店一律の改定であるため、地域ごとの価格受容度に差が出る余地がある
まとめ
鳥貴族は2026年10月1日9時から全店で価格を改定し、フード・ドリンクとテイクアウトを税込390円から410円、トリキ晩餐会を3,900円から4,100円へ引き上げる。背景は国産食材を含む原材料費、人件費、エネルギーコストの上昇だ。
投資家が見る数字は、値上げ率そのものではない。改定後の客数、客単価、営業利益率。この3つがそろって改善するかで、価格転嫁の成否が見えてくる。
関連ページ
出典
- 焼鳥屋 鳥貴族「価格改定に関するお知らせ」(2026年9月10日公表)
- エターナルホスピタリティグループ IR決算アーカイブ(2026年6月5日公表の2026年7月期第3四半期決算短信を参照)