今日の見方
Kimi K3とDeepSeek V4を並べると、AIモデル競争は二方向へ伸びている。ひとつは、巨大モデルと長文処理で、より複雑なコード編集、調査、資料作成、エージェント作業を取りに行く流れ。もうひとつは、DeepSeek V4-Flashのように、かなり安い単価で推論利用を広げる流れだ。
投資家目線では、どちらのモデルが「一番賢いか」だけを追うと少し浅い。AI利用料が下がれば、企業は試験導入から本番利用へ進みやすくなる。ただしモデルAPI単体の利益率は下がりやすい。利益が残る場所は、クラウド、専用半導体、メモリ、ストレージ、企業データ接続、AIエージェントの運用層へ移っていく。
注目ニュース
1. Kimi K3は2.8兆パラメータと1M文脈を前面に
Moonshot AIの公式資料では、Kimi K3は2.8兆パラメータ、1Mトークン文脈、画像・動画入力を備え、長時間のコード作業や知識労働、推論を想定したモデルとして説明されている。
投資家が見る点: 巨大モデルは性能面の見栄えがある一方、推論コストと提供インフラの重さも増す。クラウド、GPU、メモリ、ストレージの需要には追い風だが、モデル事業者の採算は別に見る必要がある。
2. DeepSeek V4はProとFlashで低価格APIを強調
DeepSeekは2026年4月24日にV4 Previewを公表し、V4-ProとV4-Flashを案内した。公式料金表では、V4-Flashの100万入力トークンはキャッシュミス時0.14ドル、100万出力トークンは0.28ドルとされている。
投資家が見る点: この価格帯はAIエージェントの実験回数を増やす。低単価が利用量を押し上げる一方、モデルAPI単体の利益率には圧力がかかるため、クラウド利用、推論最適化、企業導入支援でどこまで回収できるかが焦点になる。
3. 1M文脈は長時間作業の標準機能になり始めた
Kimi K3とDeepSeek V4はいずれも1Mトークン文脈を打ち出している。DeepSeek公式資料では、V4の公式サービスで1M文脈が標準になったと説明されている。
投資家が見る点: 長文処理は、法務、開発、調査、社内文書検索、エージェント実行で使い道が広い。ただし長文を読ませるほどトークン消費は増える。価格低下とキャッシュ機能がなければ、本番利用の採算は合いにくい。
4. 思考モードは「高精度」と「速さ」の切替競争へ
Kimi K3は思考モードが常時オンで、思考量をlow、high、maxから設定できる。DeepSeek V4はThinkingとNon-Thinkingの両モードに対応し、用途に応じて切り替える設計だ。
投資家が見る点: 企業利用では、常に最高精度で走らせるより、安い処理と深い推論を使い分ける方が現実的だ。AI導入企業は、モデル性能だけでなく、ルーティング、監査、コスト管理の仕組みを整えられるかを見られる。
5. 日本株ではAIインフラと企業導入の裾野に波及
Kimi K3とDeepSeek V4はいずれも海外非上場企業のモデルだが、材料は日本株にも波及する。推論需要が増えれば、データセンター、半導体製造装置、メモリ、AI SaaS、SI・コンサルの見方に影響する。
投資家が見る点: AIモデルの価格競争は、モデル企業だけの話ではない。安い推論が広がるほど、AIを組み込む企業側の投資判断が動く。日本株では、受注、クラウド利用量、AI案件の粗利率まで確認したい。
確認しておきたい日程
| 日付 | 確認イベント |
|---|---|
| 2026年4月24日 | DeepSeekがV4 Previewを公表 |
| 2026年7月24日 15:59 UTC(日本時間7月25日0:59) | DeepSeekの旧モデル名 deepseek-chat と deepseek-reasoner が利用不可化される予定と公式資料が案内 |
| 2026年7月27日 | Kimi K3のフルモデルウェイト公開予定 |