決算サマリー

項目2026年3月期実績前期比2027年3月期予想予想前期比進捗率
売上高1,437.40億円-3.2%1,410.00億円-1.9%該当なし
営業利益93.55億円+34.6%96.00億円+2.6%該当なし
経常利益102.46億円+41.3%98.00億円-4.4%該当なし
純利益24.86億円-8.1%80.00億円+221.7%該当なし
EPS74.31円-5.3%240.94円-該当なし
年間配当114円横ばい114円横ばい該当なし

通期決算では会社計画欄に次期予想を置いているため、進捗率は該当なしとしています。今期は営業段階の改善と、最終利益の弱さが混在した決算です。

定量評価

指標2026年3月期2025年3月期見方
EPS74.31円78.49円最終利益減により低下。
ROE2.0%2.2%資本効率は低水準。
ROA5.9%4.1%経常利益改善により上昇。
売上高営業利益率6.5%4.7%採算改善が明確。
自己資本比率72.2%70.2%高財務体質を維持。

営業利益率は4.7%から6.5%へ改善しました。減収環境でも営業利益を伸ばした点は評価できますが、ROE2.0%は低く、最終利益の回復が課題です。

ポジティブ要因

減収でも営業利益・経常利益が大幅増

売上高は3.2%減でしたが、営業利益は34.6%増、経常利益は41.3%増となりました。採算改善、コスト抑制、製品ミックスの改善などにより、利益率が回復したと見られます。

財務安全性が高い

総資産1,682.61億円、純資産1,211.21億円、自己資本比率72.2%です。自己資本比率は前期の70.2%から上昇しており、建材需要が弱い局面でも財務耐久力は高いです。

来期は純利益回復を予想

2027年3月期は純利益80.00億円、EPS240.94円を見込んでいます。今期の純利益24.86億円から大きく回復する計画であり、配当性向も47.3%へ正常化する見通しです。

リスク要因

売上高は減少

売上高は1,437.40億円で前期比3.2%減となりました。外装材など建材需要は住宅着工やリフォーム需要の影響を受けるため、トップラインの弱さは継続確認が必要です。

配当性向が一時的に高い

年間配当は114円を維持しましたが、配当性向は153.4%でした。財務体質が強いため短期的には維持可能でも、利益回復が遅れる場合は還元余力への見方が厳しくなる可能性があります。

最終利益の弱さ

営業利益と経常利益は大幅増益でしたが、純利益は8.1%減でした。営業段階の改善が最終利益に十分つながっていないため、特別損益や税負担などの要因を確認する必要があります。

財務安全性

財務安全性では、総資産1,682.61億円、純資産1,211.21億円、自己資本比率72.2%を確認します。1株当たり純資産は3,658.89円で、前期の3,659.66円とほぼ同水準でした。

キャッシュ・フローは営業CF82.12億円、投資CF-37.76億円、財務CF-66.43億円、現金及び現金同等物の期末残高246.96億円です。営業CFは前期の104.13億円から減少しましたが、現金残高は厚く、財務安全性は高い状態です。

業界動向との関連

ニチハは外装材を中心とした建材メーカーであり、住宅着工、リフォーム需要、資材価格、海外市場の影響を受けます。国内住宅市場が伸びにくいなかでは、価格改定、製品ミックス、海外展開、コスト管理が利益率維持の鍵になります。

今回の決算では売上が減少した一方で営業利益率が改善しており、数量よりも採算重視の運営が効いた可能性があります。ただし、建材需要そのものが弱含む場合、来期の売上計画も慎重に見る必要があります。

株価への示唆

株価への示唆は、営業利益率改善を評価するか、ROE低迷と高配当性向を警戒するかで分かれます。営業利益・経常利益の大幅増益はポジティブですが、純利益減少とROE2.0%はバリュエーション上の重しになりやすいです。

2027年3月期は純利益221.7%増を見込んでおり、この計画の確度が高まれば評価の見直し余地があります。一方、売上高予想は1.9%減であり、成長期待よりも利益正常化への期待が中心です。

今期の総括

2026年3月期は、売上高が減少した一方で、営業利益93.55億円、経常利益102.46億円と大幅増益になりました。営業利益率は6.5%まで改善しており、採算性の回復が見えます。

ただし、純利益は24.86億円で8.1%減、EPSは74.31円に低下しました。年間配当114円を維持した結果、配当性向は153.4%となり、利益水準に対して配当負担が大きくなっています。

来期見通し

2027年3月期の会社予想は、売上高1,410.00億円、営業利益96.00億円、経常利益98.00億円、純利益80.00億円、EPS240.94円です。売上高は1.9%減を見込む一方、営業利益は2.6%増、純利益は221.7%増を計画しています。

年間配当予想は114円で据え置き、配当性向予想は47.3%です。今期の高配当性向から正常化するには、来期純利益80.00億円の達成が重要になります。

総合判断

総合判断は中立である。営業利益率改善、高自己資本比率、配当維持は評価できます。一方で、売上減、最終利益減、ROE2.0%、配当性向153.4%は注意点です。

来期は純利益の大幅回復を見込んでおり、計画が達成されれば配当負担も正常化します。投資判断では、建材需要と住宅着工動向を確認しながら、利益正常化シナリオの進捗を追う局面です。

出典

本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。

  • 「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」、ニチハ、開示日: 2026-05-13