平和不動産リート投資法人 証券コード: 8966 1口当たり分配金 3,990円 稼働率97.65%・有利子負債比率48.55% ✓ 営業収益 +7.7% ✓ 当期純利益 +9.0% ✓ 136物件を運用 ⚠ 次期純利益 -38.7% ⚠ 平均借入金利 1.43% ⚠ 増資後の1口利益希薄化

決算サマリー

項目2026年5月期2025年11月期前期比
営業収益115.25億円107.04億円+7.7%
営業利益66.27億円59.85億円+10.7%
経常利益56.78億円52.07億円+9.0%
当期純利益56.77億円52.06億円+9.0%
1口当たり当期純利益4,536円4,162円+9.0%
1口当たり分配金3,990円3,950円+1.0%

オフィスとレジデンスの取得・売却を進め、利益は前期を上回った。分配金には一時差異等調整積立金から1口200円の取り崩しが含まれる。

運用状況

期末の運用資産はオフィス46物件、レジデンス90物件の計136物件、取得価格合計2650.46億円。名古屋平和ビルなど5物件を取得し、HF西新宿レジデンス2物件を譲渡した。期末稼働率は97.65%で、前期末97.76%から0.11ポイント低下したものの高水準を維持している。

都心5区のオフィス空室率は2025年11月末の2.44%から2026年5月末に2.07%へ低下し、平均賃料は28か月連続で上昇した。レジデンスも主要都市で募集賃料の上昇が続いており、賃料改定には追い風となる環境である。

分配金

当期純利益56.77億円のうち9.34億円を内部留保し、一時差異等調整積立金2.50億円を取り崩して分配金総額49.93億円、1口当たり3,990円とした。利益超過分配ではないが、当期純利益と分配金の差には積立金の繰入れ・取り崩しが影響している。

財務とキャッシュ・フロー

総資産2856.67億円、純資産1346.50億円、自己資本比率47.1%、1口当たり純資産107,588円。有利子負債は1386.80億円、総資産有利子負債比率は48.55%で、平均借入金利は1.43%、平均残存期間は4.0年だった。JCRの発行体格付けは「AA-・安定的」である。

営業キャッシュ・フローは101.36億円、投資キャッシュ・フローは-134.32億円、財務キャッシュ・フローは53.66億円。期末現金及び現金同等物は201.31億円だった。物件取得を借入で支える構図であり、金利上昇時の調達コストを継続して見る必要がある。

次期見通し

項目2026年11月期予想前期比2027年5月期予想前期比
営業収益95.58億円-17.1%97.64億円+2.2%
営業利益46.00億円-30.6%47.34億円+2.9%
経常利益34.81億円-38.7%34.97億円+0.5%
当期純利益34.80億円-38.7%34.96億円+0.5%
1口当たり分配金4,030円+1.0%4,040円+0.2%

次期は物件売却益の反動などで大幅減益を見込む一方、積立金と繰越利益剰余金を充当し、分配金は増額する計画である。2026年6月の公募増資後は発行済投資口を1,343,533口と想定し、1口当たり予想純利益は2,590円まで低下する。

ポジティブ要因

外部成長と資産入替え

当期は5物件を取得し2物件を売却。期末後にも3物件を合計134.18億円で取得し、ポートフォリオの拡大を続けている。

賃貸市場の改善

オフィス空室率の低下と賃料上昇、レジデンスの底堅い需要は内部成長の支えになる。稼働率97.65%を保ちながら賃料増額を進められるかが収益の質を左右する。

リスク要因

分配金と利益の乖離

2026年11月期は予想純利益34.80億円に対し分配金総額54.14億円を予定している。積立金の活用で分配を維持する計画であり、純利益の回復が遅れれば分配原資の持続性が問われる。

金利上昇と資本調達

有利子負債比率48.55%に加え、5年連続で6月に新投資口を発行している。資産拡大が1口当たり利益の希薄化と調達コストを上回る収益を生むかが判断材料となる。

株価への示唆

当期は増収増益、分配金も増えた。ただ、次期は当期純利益が38.7%減る一方、積立金を使って増配する計画である。分配金だけを見れば安定しているが、1口当たり利益と分配原資には差がある。市場は資産規模より、取得物件が希薄化後の利益成長につながるかを見る局面となる。

今期の総括

資産入替えを通じて増収増益となり、稼働率も高水準だった。内部留保を積み増しながら分配金を増やした点も特徴である。次期は売却益の反動と増資後の1口利益低下が表面化する。

総合判断

総合判断は中立。稼働率97.65%、オフィス・住宅賃料の上昇、格付けAA-は支えとなる。一方、次期の大幅減益、公募増資による希薄化、積立金を活用した分配には確認が必要だ。取得物件の収益寄与と平均借入金利を優先して追いたい。

出典

  • 「2026年5月期 決算短信(REIT)」、平和不動産リート投資法人、開示日: 2026-07-16