決算サマリー

項目2026年3月期実績前期比2027年3月期予想予想前期比進捗率
売上高336.36億円+5.9%415.70億円+23.6%該当なし
営業利益21.58億円-41.0%45.52億円+110.9%該当なし
経常利益19.56億円-49.0%43.26億円+121.1%該当なし
純利益8.33億円-83.4%29.14億円+249.7%該当なし
EPS33.11円-83.4%115.72円-該当なし
年間配当9.93円-66.07円34.72円+24.79円該当なし

通期決算では会社計画欄に次期予想を置いているため、進捗率は該当なしとしています。今期は増収減益、来期は大幅な利益回復を見込む構図です。

定量評価

指標2026年3月期2025年3月期見方
EPS33.11円199.88円純利益急減により大幅低下。
ROE2.2%14.7%資本効率は大きく低下。
ROA2.5%5.4%総資産に対する利益効率も悪化。
売上高営業利益率6.4%11.5%採算性は大きく低下。
自己資本比率47.5%49.2%やや低下したが一定の財務厚みは維持。

売上高は伸びたものの、営業利益率は11.5%から6.4%へ低下しました。純利益の減少幅が特に大きく、配当余力にも直結しています。

ポジティブ要因

売上高は増加

売上高は336.36億円で、前期比5.9%増となりました。海運・不動産を持つ事業ポートフォリオのなかで、トップラインは一定の拡大を維持しています。

来期は大幅回復予想

2027年3月期は、営業利益45.52億円、経常利益43.26億円、純利益29.14億円を見込んでいます。営業利益は前期比110.9%増、純利益は249.7%増の計画であり、会社側は利益回復局面を想定しています。

手元流動性は維持

現金及び現金同等物の期末残高は187.35億円で、前期の186.52億円から小幅増加しました。営業CFも44.45億円のプラスであり、短期的な資金繰り面では一定の余力があります。

リスク要因

増収でも大幅減益

売上高が増加した一方で、営業利益は41.0%減、経常利益は49.0%減、純利益は83.4%減となりました。売上増が利益につながらなかった点は大きな警戒材料です。

配当の変動が大きい

年間配当金は76.00円から9.93円へ大幅に減少しました。2027年3月期は34.72円へ回復予想ですが、同社は利益水準に応じて配当が大きく動きやすい銘柄として見る必要があります。

市況変動の影響

乾汽船は海運市況や不動産市況の影響を受けやすい事業特性があります。海上運賃、船舶コスト、為替、金利、不動産賃貸・売却環境が変動すると、利益と配当予想が大きく変わる可能性があります。

財務安全性

財務安全性では、総資産786.98億円、純資産374.15億円、自己資本比率47.5%を確認します。前期比では総資産と純資産が増加した一方、自己資本比率は49.2%から47.5%へ低下しました。

キャッシュ・フローは営業CF44.45億円、投資CF-44.46億円、財務CF-5.84億円、現金及び現金同等物の期末残高187.35億円です。営業CFと投資CFがほぼ拮抗しており、成長投資・船舶関連投資とキャッシュ創出のバランスを継続確認する必要があります。

業界動向との関連

乾汽船は海運と不動産の両面を持つため、単純な内需株や物流株とは異なり、市況変動の影響を強く受けます。海運市況が回復すれば利益回復の追い風になりますが、運賃低下やコスト上昇が重なると、売上増でも利益率が低下しやすくなります。

不動産事業についても、金利上昇や賃貸需要、物件価格の変動が業績評価に影響します。来期予想の達成には、海運市況と不動産収益の両方が計画どおり進むことが重要です。

株価への示唆

短期的には、今期の大幅減益と減配が株価の重しになりやすいです。一方で、2027年3月期予想では利益が大きく回復し、年間配当も34.72円へ増える見通しです。市場は、今期実績よりも来期予想の確度を重視する可能性があります。

ただし、来期予想は海運市況・不動産市況に左右されやすく、前提が崩れると評価も下振れしやすいです。株価判断では、四半期ごとの営業利益率、営業CF、配当予想の修正有無を追う必要があります。

今期の総括

2026年3月期は、売上高336.36億円で増収となったものの、営業利益21.58億円、純利益8.33億円にとどまり、大幅減益となりました。ROEは14.7%から2.2%へ、営業利益率は11.5%から6.4%へ低下しており、収益性の悪化が明確です。

年間配当も9.93円まで減少しました。配当性向は30.0%ですが、利益そのものが大きく減ったため、投資家還元の絶対額は大きく縮小しています。

来期見通し

2027年3月期の会社予想は、売上高415.70億円、営業利益45.52億円、経常利益43.26億円、純利益29.14億円、EPS115.72円です。営業利益は2倍超、純利益は約3.5倍を見込んでいます。

年間配当予想は34.72円、配当性向予想は30.0%です。今期からは大幅回復の計画ですが、前期の76.00円には届かない水準です。業績回復と配当回復の持続性が次の確認ポイントになります。

総合判断

総合判断は中立である。今期は増収ながら大幅減益・大幅減配となり、収益性の悪化が明確でした。一方で、来期は売上・利益・配当の回復を会社側が見込んでいます。

投資判断では、今期の落ち込みを一過性と見るか、海運・不動産市況の変動リスクとして継続警戒するかが分岐点です。来期予想の数字は強いものの、市況影響が大きい銘柄であるため、確認姿勢を残した中立評価が妥当です。

出典

本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。

  • 「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」、乾汽船、開示日: 2026-05-13