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この記事は前半編です。後半編と合わせて読むと、銘柄の位置づけとリスクがつながります。
| 記事 | 内容 |
|---|---|
| この記事 | 最新市況、ランキング、バリューチェーン、テーマ優先順位、20銘柄スコア |
| 【2026年最新】日本半導体株投資の完全攻略ガイド(後編):工程別ランキング、有望20銘柄データベース&投資スタイル別選び方 | 工程別トップ3、5大リスク、2030年テーマ、20銘柄個別解説、FAQ、更新履歴 |
| 2026年5月の日本半導体株はなぜ強かったのか | 5月相場の主役交代、東京エレクトロン、キオクシア、半導体内ローテーション |
| 世界半導体トップ10企業を徹底解説 | NVIDIA、Samsung、SK Hynix、Intel、TSMC、HBM戦争 |
1. 毎月更新:2026年6月時点の半導体最新市況
2026年6月時点で、半導体市場の中心にあるのはAIインフラである。
SIAは、2026年1〜3月期の世界半導体売上が2,985億ドルとなり、2025年10〜12月期比で25%増えたと発表している。SIAは同時に、2026年の世界半導体売上が1兆ドルに向かうとの見方も示した。
Gartnerはさらに強い見方を出している。2026年の世界半導体売上は1兆3,202億ドルに達し、AI半導体が全体の約30%を占める見通しだ。記憶しておきたいのは、ここで言うAI半導体はGPUだけではないという点である。HBM、ネットワーク、電源、データセンター向けメモリ、カスタムASICまで含めた広い市場になっている。
装置投資も強い。SEMIのWorld Fab Forecast 1Q26 Updateでは、2026年の世界半導体設備投資が1,430.6億ドル、2027年が1,593.2億ドルと見込まれている。ロジックとメモリがけん引役であり、AI需要が投資計画の前提になっている。
ただし、ここで「半導体株は全部買い」と読むのは危うい。AIサーバー、HBM、CoWoS、先端パッケージは強い。一方で、スマートフォン、PC、汎用メモリ、車載半導体は回復の濃淡がある。銘柄ごとの明暗はかなり分かれている。
2026年6月の見方を一言でまとめるなら、こうなる。
AI向けは強い。設備投資も強い。ただし、強いのはサプライチェーンの中でもボトルネックを握る企業であり、単なる半導体関連というだけでは市場は評価しにくくなっている。
2026年6月の注目銘柄
毎月更新枠として、2026年6月時点で特に確認したい銘柄を3つに絞る。これは買い推奨ではなく、次回決算や月次データで優先的に見るためのウォッチリストである。
| 銘柄 | 注目理由 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| ディスコ(6146) | AI/HBMの薄化、切断、研削工程に近く、利益率も高い | 月次売上、出荷の持続性、株価の期待先行 |
| キオクシアHD(285A) | NAND市況回復とAIストレージ需要の両方を受けやすい | メモリ価格、SSD需要、急騰後の利益持続性 |
| オルガノ(6368) | 半導体工場に不可欠な超純水で、工場投資テーマの周辺にいる | 受注残、国内外の工場案件、利益率の維持 |
この3社はタイプが異なる。ディスコはAI/HBMの中心、キオクシアはメモリ市況、オルガノは工場インフラである。複数の角度から見ることで、半導体相場がどこに広がっているかを確認しやすい。
2. なぜ今、日本半導体株を見るのか
日本企業は、半導体そのものを大量に設計・販売するプレイヤーというより、製造装置、材料、検査、後工程、基板、工場インフラで強みを持つ企業が多い。
AI半導体の主役はNVIDIAやTSMCに見えやすい。実際、グローバルの利益プールはそこに厚く集まっている。ただ、AIチップを量産するには、日本企業が握る工程を避けて通れない。
日本株として見る場合、魅力は次の3つである。
| 見るポイント | 内容 |
|---|---|
| 工程のチョークポイント | 切断、研削、洗浄、成膜、レジスト、基板、超純水など、代替しにくい工程がある |
| 国内政策の追い風 | ラピダス、TSMC熊本、JASM、半導体工場投資がサプライチェーン再評価につながる |
| グローバル資金の入り口 | 東京エレクトロン、アドバンテスト、ディスコなどは海外投資家が日本のAIテーマを買う入口になりやすい |
TSMCの熊本第2工場については、台湾当局が2026年3月に3nmプロセス導入を承認したと報じられている。量産開始は2028年予定とされ、これは日本の半導体サプライチェーンにとって中期的な材料になる。
もちろん、国策テーマはそれだけで投資理由にはならない。補助金や工場建設のニュースが出ても、個別企業の受注、利益率、在庫、顧客集中、株価の織り込みは別問題である。
3. スコアリングの評価基準
本記事では、20銘柄を3つの軸で採点する。点数は絶対的な投資判断ではなく、比較しやすくするための目安である。
| 項目 | 評価基準 |
|---|---|
| 成長性 | 売上・営業利益の成長率、市場自体の拡大余地、受注・設備投資サイクルとの連動 |
| 安全性 | 財務体質、営業利益率、世界シェア、代替困難度、業績の安定性 |
| AI恩恵度 | AIサーバー、HBM、先端パッケージ、データセンター、先端ロジック投資への直接関与度 |
投資判断の表現は、次のように使い分ける。
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| 強気寄り | 事業環境と競争力は強い。ただし株価水準や市況リスクは確認が必要 |
| 中立 | 事業は重要だが、株価の織り込み、業績の谷、サイクルの不確実性が大きい |
| 注視 | テーマ性はあるが、利益回復、構造転換、需給改善を待つ局面 |
4. 結論:日本半導体株20銘柄スコア比較
| 順位 | コード | 銘柄名 | 主な位置づけ | 成長性 | 安全性 | AI恩恵度 | 総合 | 投資判断 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 6146 | ディスコ | 後工程、切断・研削 | 9 | 9 | 10 | S | 強気寄り |
| 2 | 6857 | アドバンテスト | テスタ、AI/HBM検査 | 10 | 8 | 10 | S | 強気寄り |
| 3 | 8035 | 東京エレクトロン | 前工程総合装置 | 8 | 9 | 9 | A | 強気寄り |
| 4 | 6315 | TOWA | モールド、先端パッケージ | 8 | 7 | 9 | A | 強気寄り |
| 5 | 4062 | イビデン | パッケージ基板 | 9 | 7 | 9 | A | 強気寄り |
| 6 | 285A | キオクシアHD | NAND、AIストレージ | 9 | 5 | 8 | A | 中立〜強気 |
| 7 | 4186 | 東京応化工業 | フォトレジスト | 8 | 8 | 8 | A | 強気寄り |
| 8 | 2802 | 味の素 | ABFフィルム、電子材料 | 6 | 8 | 8 | B | 中立〜強気 |
| 9 | 4063 | 信越化学工業 | シリコンウエハ、材料 | 6 | 9 | 7 | B | 中立〜強気 |
| 10 | 7735 | SCREEN HD | 洗浄装置 | 7 | 8 | 8 | B | 中立 |
| 11 | 6920 | レーザーテック | EUVマスク検査 | 7 | 8 | 8 | B | 中立 |
| 12 | 6323 | ローツェ | ウエハ搬送 | 7 | 7 | 7 | B | 中立 |
| 13 | 6525 | KOKUSAI ELECTRIC | 成膜装置 | 7 | 7 | 7 | B | 中立 |
| 14 | 7729 | 東京精密 | 計測・プロービング | 6 | 7 | 7 | B | 中立 |
| 15 | 5344 | MARUWA | セラミック電子部材 | 7 | 8 | 6 | B | 中立〜強気 |
| 16 | 6368 | オルガノ | 超純水、工場インフラ | 7 | 8 | 6 | B | 中立〜強気 |
| 17 | 3436 | SUMCO | シリコンウエハ | 4 | 6 | 5 | C | 注視 |
| 18 | 6723 | ルネサス | 車載・産業用半導体 | 5 | 6 | 4 | C | 注視 |
| 19 | 6504 | 富士電機 | パワー半導体、電力 | 5 | 7 | 4 | C | 注視 |
| 20 | 6963 | ローム | SiC、パワー半導体 | 4 | 6 | 5 | C | 注視 |
JSRはフォトレジストなどで重要な企業だが、非上場化後は一般的な日本株投資の対象から外れるため、本ランキングでは除外した。
上位銘柄はなぜこの順位か
表だけでは順位の理由が見えにくいため、上位5社の評価ポイントを補足する。
| 順位 | 銘柄 | 順位の理由 |
|---|---|---|
| 1 | ディスコ | AI/HBMで増える薄化・切断・研削工程に近く、高利益率も維持している。後工程のボトルネックを握る銘柄として評価した |
| 2 | アドバンテスト | AI半導体とHBMの複雑化でテスト需要が拡大しやすい。業績モメンタムは強いが、期待値も高いため2位とした |
| 3 | 東京エレクトロン | 前工程の大型中核株で、海外資金の入口になりやすい。中国規制やサイクルの影響を受けるため、ディスコ、アドバンテストより一段慎重に見た |
| 4 | TOWA | 先端パッケージのテーマ性は強い。中小型株として値動きが大きく、財務・受注確認の重要度も高いため4位とした |
| 5 | イビデン | AIサーバー向け高密度基板の期待が強い。設備投資負担と顧客集中を確認する必要があるが、テーマの中心に近い |
5. 迷ったら最初に見る5銘柄
20銘柄すべてを同じ熱量で追うのは現実的ではない。最初にウォッチリスト化するなら、次の5社が軸になりやすい。
ディスコ(6146)
後工程の切断・研削で強い。AIチップ、HBM、先端パッケージでは、チップを薄くし、高精度に加工する工程が増える。2026年3月期通期は売上高4,368.89億円、営業利益1,849.89億円で、利益率の高さが際立つ。
ただし、株価は期待先行になりやすい。良い会社であることと、良いタイミングで買えることは別の話だ。
アドバンテスト(6857)
AI半導体向けテスタの代表格である。2026年3月期通期は売上高1兆1,286.10億円、営業利益4,991.20億円と大幅増収増益だった。AI/HBMの複雑化は検査工程の価値を押し上げる。
一方、NVIDIA関連ニュースに株価が反応しやすく、期待が高い時ほど決算への要求水準も上がる。
東京エレクトロン(8035)
前工程装置の大型株。日本の半導体テーマを海外投資家が買うときの入口になりやすい。2026年3月期通期は売上高2兆4,435.33億円、営業利益6,249.36億円だった。
前工程はAIだけでなく、ロジック、メモリ、中国投資、輸出規制の影響を受ける。大型株らしい安定感はあるが、地政学リスクもセットで見る必要がある。
TOWA(6315)
先端パッケージ、特に樹脂封止のテーマ性が強い。HBMやチップレットの普及が進むほど、後工程の精度が問われる。中小型株らしく株価の振れは大きいが、テーマに乗ったときの反応は速い。
ローカル決算メモでは直近データの取得が粗いため、月次更新時には公式決算資料で再確認する優先度が高い銘柄である。
信越化学工業(4063)
シリコンウエハと材料の大型株。2026年3月期通期は売上高2兆5,739.69億円、営業利益6,352.04億円だった。半導体だけでなく塩ビなど複数事業を持つため、純粋なAI半導体株ではない。
その分、ポートフォリオの土台として見やすい。急騰狙いというより、財務、キャッシュ、材料シェアを評価する銘柄である。
6. 半導体バリューチェーンマップ
半導体株を選ぶときは、会社名より先に工程を見る方がよい。
素材・ウエハ
信越化学、SUMCO、東京応化工業、味の素
↓
前工程
東京エレクトロン、SCREEN、KOKUSAI ELECTRIC、レーザーテック
↓
後工程
ディスコ、TOWA、アドバンテスト、東京精密
↓
先端パッケージ・基板
イビデン、MARUWA
↓
工場インフラ・電力
オルガノ、富士電機
↓
最終需要
NVIDIA、AMD、TSMC、クラウド事業者、AIデータセンター
| 工程 | 役割 | 主な日本企業 | 見方 |
|---|---|---|---|
| ウエハ | 半導体の土台 | 信越化学、SUMCO | 市況循環の影響を受けるが、長期では重要 |
| レジスト | 回路形成の材料 | 東京応化工業、信越化学 | 先端プロセスほど品質要求が高い |
| 前工程装置 | 成膜、エッチング、洗浄など | 東京エレクトロン、SCREEN、KOKUSAI | 設備投資サイクルと輸出規制を受ける |
| 検査 | 欠陥確認、テスト | レーザーテック、アドバンテスト、東京精密 | AI/HBMで検査工程の重要性が上がる |
| 後工程 | 切断、研削、封止 | ディスコ、TOWA | 先端パッケージ化の中心 |
| 基板・部材 | 高密度基板、電子部材 | イビデン、MARUWA、味の素 | AIサーバー周辺のボトルネックになりやすい |
| 工場インフラ | 超純水、電力、冷却 | オルガノ、富士電機 | 半導体工場投資の外側にある受益領域 |
7. 2026年時点の市場テーマ優先順位
最重要:AI GPU、HBM、先端パッケージ
最も強いテーマは、AI GPU、HBM、CoWoS、チップレット、先端パッケージである。
該当銘柄は、ディスコ、アドバンテスト、TOWA、イビデン、東京エレクトロン、味の素、東京精密など。株価はすでに期待を織り込みやすいが、業績へのつながりも比較的見えやすい。
重要:メモリ、NAND、AIストレージ
キオクシアのようなメモリ銘柄は、AIデータセンターのストレージ需要とメモリ市況の両方を見る必要がある。上がる時は大きいが、価格下落局面では利益が急に変わる。
中期:パワー半導体、SiC、電力効率
ローム、富士電機、ルネサスは、AIだけでなくEV、産業機器、電力制御、データセンターの省電力化で見る銘柄である。2026年時点では、AI/HBMほど市場の熱量は高くないが、長期テーマとしては残る。
回復待ち:スマートフォン、PC、汎用半導体
スマートフォン、PC、車載の回復は一様ではない。オンデバイスAIやAI PCは材料になるが、すぐに全銘柄の利益を押し上げるわけではない。
8. 前半のまとめ
2026年6月時点の日本半導体株を見るうえで、最も大事なのは「AIに近いか」ではなく、「AIサプライチェーンのどこでボトルネックを握っているか」である。
ディスコ、アドバンテスト、東京エレクトロンのような中核銘柄は、海外投資家も見ている。TOWA、イビデン、東京応化工業、MARUWA、オルガノのような工程・部材・インフラ銘柄は、テーマの解像度が上がるほど評価されやすい。
ただし、半導体株は景気、金利、為替、米中規制、設備投資、メモリ価格で大きく動く。ランキングは入口にすぎない。後半編では、工程別ランキング、リスク、2030年テーマ、20銘柄の個別解説まで掘り下げる。
あなたはどのタイプか
後半編へ進む前に、自分がどの投資スタイルに近いかを確認しておくと、20銘柄データベースを読みやすくなる。
| タイプ | 見やすい候補 | 向いている見方 |
|---|---|---|
| 安定運用派 | 信越化学、味の素、東京エレクトロン | 財務、事業分散、長期の継続性を重視する |
| AI本命派 | ディスコ、アドバンテスト、イビデン | AI/HBMの需要が業績にどうつながるかを見る |
| 大化け狙い | TOWA、ローツェ、MARUWA | テーマ性と中小型株の値動きを許容して見る |
| 出遅れ狙い | SCREEN、KOKUSAI ELECTRIC、SUMCO | 業績の谷、受注回復、株価の見直し余地を見る |
どのタイプでも、1銘柄に集中しすぎると半導体サイクルの影響を強く受ける。後半編では、工程別ランキングと個別銘柄カードで、候補銘柄の強みと弱点を整理する。
次はこちら。
【2026年最新】日本半導体株投資の完全攻略ガイド(後編):工程別ランキング、有望20銘柄データベース&投資スタイル別選び方
出典
- Semiconductor Industry Association「Global Semiconductor Sales Increase 25% from Q4 2025 to Q1 2026」
- Semiconductor Industry Association「Global Annual Semiconductor Sales Increase 25.6% to $791.7 Billion in 2025」
- Gartner「Gartner Forecasts Worldwide Semiconductor Revenue to Exceed $1.3 Trillion in 2026」
- Gartner「Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Grew 21% in 2025」
- SEMI「World Fab Forecast」
- Focus Taiwan「Taiwan government approves TSMC's 3nm upgrade for second Japan fab」
- 当サイト各銘柄決算メモ:ディスコ、アドバンテスト、東京エレクトロン、信越化学工業、東京応化工業、味の素、イビデン、キオクシアHD、MARUWA、オルガノほか
- 確認日:2026-06-03