MORTGAGE RATE SERIES #4 住宅ローン返済額シミュレーション 借入3,000万・5,000万・7,000万円 0.5% 約129,793円 1.0% +12,000円 2.0% +35,838円 総返済増 1,500万円超 金利見直しは次回。先に借入条件を数値で固定する

【3秒で結論】

35年元利均等・ボーナスなしのシンプル比較

借入5000万円

  • 年0.5% → 月約129,793円、総返済約5,451万2,928円
  • 年1.0% → 月約141,143円、総返済約5,927万9,997円
  • 年2.0% → 月約165,631円、総返済約6,956万5,182円

0.5%と2.0%では

  • 月額は約35,800円増
  • 総返済は約1,505万円増加

※金融機関や条件で誤差があります。概算です。

まずは前提を固定しないと、比較は壊れる

金利比較をするときに一番事故りやすいのが、条件の揃っていない比較だ。

ここでは、比較を揃えるために次を固定する。

  • 返済方式:元利均等返済(借入残高を均等な返済で返す方式)
  • 借入期間:35年
  • 返済種類:毎月の元本+利息の合算を支払う(ボーナス一括なし)
  • 借入額:3,000万円 / 5,000万円 / 7,000万円
  • 金利:0.5%、1.0%、2.0%

以下の月額は簡易計算式で求めた概算であり、実際の契約で出る数値より数千円単位〜数万円単位でズレることがある。

月額 = 借入額×(月利) ÷ {1-(1+月利)^-420}

※ここでは35年なので、分母の回数は420回。記事中は金融機関算定式との一致確認を前提に「目安」として使う。

借入額別のシミュレーション結果(概算)

借入3,000万円

金利(年)月々の返済額(目安)総返済額(目安)支払利息(目安)
0.5%約77,876円約3,270万7,756円約270万7,757円
1.0%約84,686円約3,556万7,998円約556万7,999円
2.0%約99,379円約4,173万9,109円約1,173万9,109円

借入5,000万円

金利(年)月々の返済額(目安)総返済額(目安)支払利息(目安)
0.5%約129,793円約5,451万2,928円約451万2,928円
1.0%約141,143円約5,927万9,997円約927万9,997円
2.0%約165,631円約6,956万5,182円約1,956万5,182円

借入5,000万円の場合、0.5%と2.0%では総返済額に約1,505万円の差が出る。教育費や老後資金と並べて考えても、軽い金額ではない。住宅ローンの金利差は、毎月の数万円だけでなく、長期では家計の選択肢そのものに効いてくる。

借入7,000万円

金利(年)月々の返済額(目安)総返済額(目安)支払利息(目安)
0.5%約181,710円約7,631万8,100円約631万8,100円
1.0%約197,600円約8,299万1,995円約1,299万1,995円
2.0%約231,884円約9,739万1,254円約2,739万1,254円

0.5%→1.0%・2.0%時の増加分(目安)

金利が上がるときの増加幅を、同じ借入額で比較する。

借入額0.5%→1.0% 月増0.5%→2.0% 月増0.5%→1.0% 総返済増0.5%→2.0% 総返済増
3,000万円約6,810円約21,503円約286万2,241円約903万1,352円
5,000万円約11,350円約35,838円約476万7,068円約1,505万2,253円
7,000万円約15,890円約50,174円約667万3,896円約2,107万3,154円

金利が0.5%から1.0%へ上がるだけでも、借入5,000万円なら1年あたり約136,200円(約13.6万円)が増える。家計の保険料や学費、車関連費と並べると、無視できない重みだ。

「いま増えるか」でなく「生活で受け止めるか」で見る

借入3000万を借りる人の体感は、月の数字での増分が小さめに見える。

借入7000万の人は、2.0%では0.5%より月に約5.0万円近く増える可能性が出る。

この差は、毎月のキャッシュフローだけでなく、

  • 1年で見れば年額の差は2倍以上に
  • 総返済の差は数年で積み上がり、教育費や生活防衛資金の空きに効く
  • 変動金利であっても、実務的には見直し反映時期のルールを知っていないと、想像より厳しくなる

変動金利が「すぐに」増えるわけではないという理解は正しい。ただし、契約条件を見ないまま放置していると、どのタイミングでどう増えるかが後から見えにくい形で効いてくる。

変動ローンの見直しは、返済ルールまで見る

ここでは、まず金額の感覚を固定した。

次に、変動金利の実務を扱う。 変動金利の5年ルール・125%ルールを読む

  • 5年ルールの再計算基準
  • 125%ルール(上限適用)
  • 利率変更時の月支払いの織り込み
  • 固定金利へ切り替えるなら、どの条件で比較するか

金利ニュースで不安になる前に、まず借入の実体を数字でつかむ。そこから次の判断が始まる。

よくある誤解

誤解1:年0.5%なら安全だから借金は大して危なくない

借入規模が大きいと、見えない資金繰りリスクが大きくなる。月3万〜4万円程度の差でも、年ベースでは十数万円になる。

誤解2:金利上昇は毎月すぐ反映される

変動金利は契約ごとに反映タイミングがある。契約条件に照らして、いつ返済額へ反映されるかを確認する。

誤解3:固定金利がすべての家計でいいとは限らない

固定金利は金利上昇時の安心だが、借入時点の金利と手数料、借換時点の金額を見比べると、 「固定した時点で良かった」かは別問題になる。

誤解4:低借入でも金利上昇は無視できる

金利上昇は一瞬で大きく見えないが、期間で見ると返済総額に効いてくる。1年の違いと30年の違いを混同しない。

誤解5:変動金利はすぐ借り換えた方がいい

変動から固定への切替は、残存期間、残高、金利差、固定化費用、団信・保証料を含めて検討する。感情での借換えは逆回転しやすい。

住宅ローン見直しチェックリスト

  1. 借入残高と残期間をまず把握しているか
  2. 変動金利の見直しタイミング(見直し日、据置期間)を確認しているか
  3. 5年ルール・125%ルールの対象かどうかを金融機関に明示させているか
  4. 団信の保障料・繰上返済手数料・保証料の条件を一覧にできるか
  5. 固定金利に切り替えを検討するなら、固定期間と満期までの総コストを比較しているか
  6. 教育費・家計防衛資金の引出し余力が残っているか
  7. 賃料相当のキャッシュバッファを置いているか

チェックは、まず数字の把握→条件の確認→判断の順で進める。

FAQ

Q. 3,000万円・0.5%と1.0%では、月額はどれくらい増えますか?

おおよそ月6,810円の増加が目安です。年だと約81,720円です。金融機関によりわずかに変わります。

Q. 0.5%から2.0%だと、借入5,000万円でどのくらい増える?

月額は約35,800円増加、総返済は約1,505万2,253円の目安で増える計算です。実際の実損益は、手数料や固定化条件で変わります。

Q. 変動金利にしておくのはありですか?

初期金利が低く、金利見直し条件を把握でき、家計に上振れ余力がある人には有効なケースがある。ただし、残高が大きいほど金利上昇時の負担は重くなる。

Q. 固定金利にすれば安心ですか?

安心の意味は「将来の上振れを抑えること」。その分、見積時点で将来想定を織り込んだコストを支払っていることになります。

Q. 返済額が増えたらすぐ繰上げた方がいい?

繰上げの判断は、金利差だけでは足りない。繰上げ手数料、将来の金利予想、使途、貯蓄目標を含めて検討する。

まとめ:変化量を先に掴むと、金利は敵でなく設計変数になる

金利は数値のゲームではあるが、家計にとっては「増えた年収」より「増えた支出」を先に見る。

借入3,000万円でも7000万円でも、金利上昇での負担差は期間が長いほど積み上がる。今回のようなシミュレーションは、感情的な不安を抑えつつ、次に何を確認するかを明確にするための道具だ。

今回の結論はシンプルだ。

  • まず借入残高・金利・期間を固定して見積もる
  • 次に変動金利契約の見直しルールを理解する
  • そのうえで、固定化・繰上げ・借換えを順番に検討する

急ぎすぎる判断より、まず条件の見える化が先である。

次回は、変動金利の5年ルールと125%ルールの実務を扱う。

出典・参考