債券ポートフォリオ戦略 みずほFG第34回・第35回・個人向け国債 個人向け国債 守りのコア 半年ごと利率見直し 第34回 10年固定 高クーポン枠 第35回 5年後コール判断 後半利率見直し 固定・コール・安全資産を混ぜても、発行体分散は別で考える

まず3商品を並べる

今回の比較対象は、性格がかなり違う。

商品役割のイメージ主な特徴
個人向け国債 変動10年守りのコア半年ごとに利率見直し、中途換金制度あり、元本割れリスクなし
みずほFG第34回インカム重視のサテライト10年固定、仮条件年3.050%-3.650%、劣後性あり
みずほFG第35回金利シナリオ付きサテライト当初5年固定年2.300%-2.900%、2031年コール可能、後半利率一度見直し

2026年6月募集の個人向け国債変動10年は、初回適用利率が年1.74%。一方、みずほFG第34回は税引前3%台、第35回は当初5年で税引前2%台後半が視野に入る。

数字だけ見ると、みずほFG債の方が明らかに強く見える。ただ、ここで比較しているのは利回りだけではない。信用リスク、条項、途中換金の扱い、発行体集中まで含めて別物だ。

いちばん大事な前提 第34回と第35回を持っても発行体分散にはならない

これは最初に書いておきたい。

第34回と第35回は、金利タイプも年限の見え方も違う。したがって、固定10年5年後見直し型 を組み合わせることで、金利シナリオの分散はある程度できる。

ただし、発行体はどちらもみずほFGで、しかもどちらも劣後債だ。実質破綻時免除特約と劣後特約の重いテールリスクは共通している。つまり、

34回 + 35回 = 金利型の分散にはなる
34回 + 35回 ≠ 発行体リスクの分散

この違いを外すと、ポートフォリオ全体の安全性を過大評価しやすい。

個人向け国債をコアに置く意味

個人向け国債、とくに変動10年は、今回のような劣後債とかなり相性がいい。

財務省の案内では、変動10年は半年ごとに適用利率が見直される。さらに、発行後1年を経過すれば国による買取で中途換金が可能で、元本割れのリスクはない。中途換金時には直前2回分の各利子相当額に一定係数を掛けた金額が差し引かれるが、価格変動で元本が大きく減る市場性債券とは性格が違う。

つまり、変動10年は「守りながら金利上昇にある程度ついていく」道具として使いやすい。みずほFGの第34回・第35回は「高いクーポンを取りにいく代わりに、発行体信用と条項を引き受ける」道具だ。この役割分担があるから、同じ債券でも組み合わせる意味が出る。

3つの組み方

ここからは、考え方の例として3パターンに分ける。

1. 王道のコア・サテライト型

個人向け国債 70%
みずほFG第34回 20%
みずほFG第35回 10%

これはかなり素直な組み方だと思う。

土台の7割を個人向け国債に置いて、ポートフォリオ全体の安全性と換金のしやすさを確保する。そのうえで、第34回で固定インカムを取り、第35回で5年後の利率見直しやコールシナリオを少しだけ取りにいく。

この形の良いところは、みずほFGへの発行体集中を資産全体の3割に抑えられることだ。劣後債のクーポンを使って全体利回りを底上げしつつ、守りの中核は国債に残す。かなり扱いやすい。

2. 金利シナリオ分散型

個人向け国債 50%
みずほFG第34回 25%
みずほFG第35回 25%

これは「金利がこの先どう動くかを決め打ちしたくない」人向けだ。

第34回は10年固定で、今の高めのクーポンを長く取りにいく。第35回は、2031年にコールされるか、続いて後半利率が見直されるかという別のシナリオを持つ。さらに個人向け国債変動10年が半年ごとに利率を追いかける。

固定、5年後見直し、半年ごと見直し。この3層に分けることで、将来の金利パスを一つに賭けない構造になる。

ただし、この形でもみずほFGへのエクスポージャーは全体の半分ある。金利分散はあっても、信用分散はそこまで効いていない。そこは割り切りが必要になる。

3. 守り重視型

個人向け国債 80%
みずほFG第34回 20%

これは最も保守的だ。

第35回のコール判断や利率見直しまで追いかけるのは面倒だが、第34回の固定クーポンは少し取りたい。そういう人なら、この設計はかなり自然だと思う。

個人向け国債を大きく持てば、金利上昇局面にもある程度ついていける。そこに第34回を薄く乗せることで、全体のクーポンを底上げする。第35回を入れない分、シナリオはかなりシンプルになる。

あえて避けたい組み方

逆に、少し避けたいのは次のような形だ。

みずほFG第34回 50%
みずほFG第35回 50%

ぱっと見では、固定と変動を半分ずつでバランスが良さそうに見える。

でも実際には、みずほFGへの信用集中がかなり重い。しかも両方とも劣後債で、危機時に効いてくる条項リスクは共通している。金利型を分けたことで安心感が出ても、ポートフォリオ全体の下方向リスクは思ったほど分散されていない。

この組み方をやるなら、少なくとも全資産ではなく、債券サテライト枠の中だけの話として扱った方がいい。

どのパターンが向いているか

タイプ向きやすい組み方考え方
守り優先個人向け国債80% + 第34回20%安全性とシンプルさを優先
バランス重視個人向け国債70% + 第34回20% + 第35回10%守りを厚くしながら利回りを少し上乗せ
金利シナリオ分散個人向け国債50% + 第34回25% + 第35回25%固定・5年後見直し・半年ごと見直しを混ぜる

個人的には、最初の一本としては 王道のコア・サテライト型 がいちばん無理がない。第35回は面白いが、コールと後半利率見直しの両方を理解してこそ意味がある商品だ。よく分からないまま厚く持つと、想定がずれやすい。

判断軸は4つで十分

1. まず個人向け国債のような安全資産がベースにあるか
2. みずほFGへの信用集中をどこまで許容できるか
3. 第34回の固定10年と、第35回のコール条項をどう使い分けたいか
4. 100万円単位の劣後債を、全資産のどこまでに抑えるか

この4つが決まると、だいぶ設計しやすい。

まとめ

みずほFG第34回と第35回、そして個人向け国債は、同じ「債券」でも役割がかなり違う。

押さえたいポイントは次の通り。

  • 第34回は10年固定の高クーポンを取りにいくサテライト
  • 第35回は5年後コールと利率見直しを読むサテライト
  • 個人向け国債変動10年は、守りのコアとして置きやすい
  • 第34回と第35回を併せ持っても、発行体分散にはならない
  • 債券ポートフォリオでは、金利分散より先に信用集中を管理したい

利回りだけを見れば、みずほFGの2本はかなり魅力的に映る。だが、土台まで同じ発行体の劣後債で固めると、見た目より偏る。まずは個人向け国債で守りを作り、その上に第34回と第35回をどう乗せるか。この順番で考えた方が、ポートフォリオはかなり落ち着く。

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出典