NIKKEI 225 / HISTORICAL REVIEW 2,000円超下落、その翌日は 過去10回の翌営業日 8勝 2敗 平均 +2.26% / 中央値 +2.53% 2026年7月28日 -2,566.27円 終値 62,364.92円 反発率ではなく、売りの原因を見る 標本は10回。金額基準には株価水準の偏りがある kabutrack.com

まず結論

過去データは「急落翌日は買い戻されやすい」と示している。ただ、7月29日の方向を決めるのは8勝2敗という回数ではない。7月28日に集中した半導体株の売りが一巡したか、売りの根拠が一日で消える性質だったか。この2点が先だ。

正直、今回は単純なパニック安だけではない。中国の半導体メモリー・製造装置企業との競争、AI投資の採算、信用買いの整理という中期論点が混ざっている。寄り付きで反発しても、前日の下落トレンドが終わったとは判断できない。

7月28日はなぜ2,566円安になったのか

7月28日の日経平均は3.95%安。一時は61,923.60円まで下げ、前日終値からの下落幅は3,000円を超えた。TOPIXの下落率は2.52%で、日経平均の下げがより大きい。市場全体が同じ強さで売られたのではなく、指数寄与度の高いAI・半導体株へ売りが偏った一日だった。

売りの起点は、前日の米国市場における半導体株安だった。そこへ中国勢による液浸型DUV露光装置の製造開始報道、メモリー市場での競争激化、韓国株の急落が重なった。日本ではキオクシアHD(285A)がストップ安となり、東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)など値がさ株の下げが指数を増幅した。

つまり、下落経路は次の順番になる。

米国・韓国の半導体株安 → 中国勢との競争懸念 → 日本の値がさ半導体株へ売り集中 → 信用買いの整理と先物売り → 日経平均の下落幅拡大。

終値で2,000円超下落した全11回と暴落理由

日経平均プロフィルの「上昇・下落記録」によると、2026年7月28日までに終値の下落幅が2,000円を超えた日は11回ある。主な背景は、当日の市場材料を一つに断定せず、売りを強めた要因をまとめた。

順位急落日下落幅当日の終値主な背景・売りの経路翌営業日
12024年8月5日-4,451.28円31,458.42円米景気後退懸念、日銀利上げ後の急速な円高、円キャリー取引の巻き戻し、追証・先物売り+10.23%
21987年10月20日-3,836.48円21,910.08円10月19日の米ブラックマンデーが世界市場へ波及。プログラム売買と流動性低下が下げを増幅+9.30%
32026年6月26日-3,005.46円69,360.88円前日の3,000円超高からの利益確定、メモリー価格上昇によるAI投資鈍化懸念、韓国半導体株安、OpenAI上場観測の後退+0.15%
42026年3月9日-2,892.12円52,728.72円中東紛争の長期化懸念と原油急騰。輸入コスト・インフレ・景気悪化を同時に警戒+2.88%
52026年7月17日-2,694.42円64,141.12円米SOX急落、アジア半導体株の持ち高整理、中東・原油リスク、キオクシアの訴訟開示とストップ安+3.26%
62025年4月7日-2,644.00円31,136.58円米相互関税と中国の報復措置で貿易戦争・景気後退を警戒。米国株急落がアジア市場へ波及+6.03%
72026年7月28日-2,566.27円62,364.92円米半導体株安、中国のメモリー・DUV装置を巡る競争懸念、韓国株安、値がさ半導体株の需給悪化未確定
82026年6月23日-2,565.58円69,788.38円8営業日で8,000円超上昇し、6日連続で最高値を更新した反動。AI・半導体株を中心に利益確定-0.88%
92026年6月8日-2,563.52円64,024.60円強い米雇用統計による米利上げ観測、米ハイテクIPOに備えた換金売り、中東リスクが重なる+2.17%
102024年8月2日-2,216.63円35,909.70円米景気指標の悪化、日銀利上げ後の円高、輸出企業の業績懸念。週末を前にリスク回避が加速-12.40%
112026年3月4日-2,033.51円54,245.54円イラン情勢、米半導体株安、韓国株急落、プライベートクレジット不安が重なり全面安+1.90%

この表から見えるのは、同じ2,000円安でも中身が違うことだ。1987年と2024年8月は、海外発のショックとポジション解消が市場全体へ広がった。2026年6~7月は、上昇が集中していたAI・半導体株の期待値調整が日経平均へ大きく表れた日が多い。

過去10回の翌日は8回上昇、2回下落

7月28日を除く10回の翌営業日は、8回上昇、2回下落した。

指標結果
上昇8回
下落2回
標本内の上昇比率80%
翌日の平均騰落率+2.26%
翌日の中央値+2.53%

平均には、1987年10月21日の9.30%高、2024年8月6日の10.23%高が含まれる。一方、2024年8月2日の翌営業日は12.40%安だった。平均値だけを見ると、急反発と二段下げの両方が隠れてしまう。

中央値の2.53%を7月28日終値へ機械的に当てはめると、約1,578円高の63,943円前後になる。ただし、これは予想値ではない。過去10例の中心を現在の株価水準へ置き換えただけの参考計算だ。

「8勝2敗」を上昇確率80%と呼べない理由

標本が10回しかない

10例では、一つの結果が比率を10ポイント動かす。統計的に安定した法則と呼べる規模ではない。

事例が独立していない

2024年8月2日と8月5日は連続した同じ急落局面だ。2026年6~7月の5例も、AI・半導体株へ資金が集中した同じ相場環境の中で起きている。

「2,000円」という金額基準に株価水準の偏りがある

1987年10月20日の3,836円安は14.90%安だった。7月28日の2,566円安は3.95%安である。日経平均が6万円台なら、同じ下落率でも円ベースの下落幅は大きくなる。11回のうち6回が2026年に集中したのも、相場水準の上昇が一因だ。

歴史比較では、下落幅だけでなく下落率、TOPIXとの差、値下がり銘柄数、日経平均VI、先物、為替を合わせて見る方が実態に近い。

反発しなかった2回が示すこと

2024年8月2日:悪材料が週末に強まった

8月2日は2,216.63円安だったが、次の営業日である8月5日はさらに4,451.28円下落した。米雇用統計を受けた景気後退懸念、日米金利差縮小を意識した円高、円キャリー取引の巻き戻しが週末をまたいで加速したためだ。

「すでに大きく下げた」ことより、東京市場が閉じた後に悪材料とポジション解消が強まったことの方が重かった。

2026年6月23日:高値警戒が一日で消えなかった

6月23日は、直前まで8営業日連続で上昇し、その間の上げ幅が8,000円を超えていた。翌24日も0.88%安となったが、下落率は縮小している。これは新たな危機というより、高値圏での利益確定が続いたケースに近い。

7月29日の3つのシナリオ

自律反発

前日の売買代金を伴う急落で短期の投げ売りが一巡し、半導体株に買い戻しが入るケース。アドバンテストと東京エレクトロンがそろって上昇し、日経平均がTOPIXを上回って戻すなら、この色が強い。

ただし、7月29日15時30分にはアドバンテストの決算発表が予定され、米FOMCも控える。買い戻しが入っても、イベント前に上値を追う資金は限られやすい。

朝高後に失速

寄り付きでは先物主導で戻るが、キオクシアなど信用買いの多い銘柄に売りが残り、前場後半から戻り売りが増えるケース。過去の「翌日上昇」に入る日でも、日中の値幅が大きければ、体感は安定した反発にならない。

二段下げ

半導体株が前日安値を更新し、TOPIXにも売りが広がるケース。中国勢との競争、メモリー需給、AI投資の採算に対する懸念は、一日の値下がりで解消する材料ではない。値がさ株の売りに先物売りと信用整理が再び重なると、日経平均の下落幅は大きくなりやすい。

寄り付き後に確認したい5項目

  • キオクシアHDが前日のストップ安から離れられるか
  • アドバンテストと東京エレクトロンがそろって反発するか
  • 日経平均の戻りがTOPIXより強いか、弱いか
  • 前場安値を後場まで維持できるか
  • 韓国KOSPIとSKハイニックスに売りが続くか

このうち最も見たいのは、日経平均とTOPIXの差だ。日経平均だけが弱ければ、値がさ半導体株に偏った調整が続いている。両指数がそろって下げ、値下がり銘柄数も増えるなら、リスク回避が市場全体へ広がったと判断しやすい。

まとめ

過去10回では、2,000円超下落の翌営業日は8回上昇した。この結果は、急落で強制的な売りが一巡した後に、空売りの買い戻しや押し目買いが入りやすいという市場構造と整合する。

それでも、今回は「80%だから上がる」と読む局面ではない。7月28日の下げには、半導体株の短期的な売られ過ぎと、中国勢との競争やAI投資採算への中期不安が同居する。反発しても、半導体株の評価調整が終わったとは限らない。

7月29日に見るべきものは終値の色だけではない。半導体株へ売買代金を伴う資金が戻るか、前日安値を守れるか、TOPIXへ売りが広がらないか。翌日反発の回数より、この3点の方が相場の次をよく映す。

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出典