電力需要の見通し
IEAの2026年報告書「Key Questions on Energy and AI」は、世界のデータセンター電力消費を2025年の485TWhから2030年に950TWhと予測した。2030年の世界の電力消費に占める比率は約3%。送配電網や機器の供給制約は、施設の稼働時期を左右するとも指摘している。
日本では電力広域的運営推進機関が、データセンターと半導体工場の新増設分として、2030年度に最大需要電力420万kW、需要電力量308億kWhを個別計上した。このうちデータセンター分は328万kW、243億kWh。申込状況などに基づく想定であり、全施設の稼働が確定したわけではない。
施設と設備メーカーで見る数字は違う
| 見る対象 | 確認する数字 | そこから分かること |
|---|---|---|
| データセンター | 系統接続の進捗、稼働開始時期、契約電力 | 計画が実際の設備需要に近づいたか |
| データセンター | PUE、実際の電力使用量 | 施設のエネルギー効率と稼働状況 |
| 設備メーカー | データセンター向け受注・売上、受注残と売上高の推移 | 需要が自社の納入に結びついたか |
| 設備メーカー | 事業部門の利益率、営業・投資キャッシュフロー | 増産や納入に採算が伴うか |
PUEは施設全体の電力効率を示す指標で、冷却設備メーカーの利益率ではない。資源エネルギー庁は、データセンター業の特定事業者に対し、2030年度までにPUE1.4以下を目指すベンチマークを設けている。施設の効率改善と、納入企業の収益改善は別に確かめる必要がある。
富士電機(6504)|データセンター向け売上の伸びを開示
富士電機はUPSや受変電設備を供給する。2026年5月の事業戦略資料によると、2025年度のデータセンター向け売上は2020年度の5.2倍。ただし、データセンター向けの利益額は示されていない。
同社はUPSの国内生産能力を増やし、マレーシアでもデータセンター向け配電盤の生産を始めた。供給能力の拡大は売上の継続に役立つが、増産費用や部材費もかかる。5.2倍という売上実績から、利益への寄与額までは読み取れない。
日立製作所(6501)|電力網事業全体の数字とHMAX
日立傘下のHitachi Energyは、変圧器など電力網の設備を扱う。2025年度決算の質疑応答で、Hitachi Energy全体の受注残はドルベースで前年比33%増、売上高は同26%増と説明された。データセンター向けだけの受注額や利益額を表す数字ではない。
9月3日には、データセンターの電力・IT・冷却設備を統合して監視・運用する「HMAX Data Center」を発表し、最初のサービスを北米で顧客向けに提供開始した。料金は個別見積で、売上への寄与額は未公表だ。
別に公表したワークロード移動技術は、3施設での実証結果と今後の展開方針を示すものだ。
関連ページ
出典
- IEA|Key Questions on Energy and AI: Executive summary(2026年4月16日公表)
- 電力広域的運営推進機関|2026年度 全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年1月21日公表)
- 資源エネルギー庁|増加が見込まれるデータセンターの電力需要をどうする?(2026年5月公表)
- 富士電機|2026年度エネルギー事業戦略資料(2026年5月27日)
- 日立製作所|2025年度決算説明会の質疑応答(2026年4月27日)
- 日立製作所|Hitachi Technology 2026:データセンターと系統連携(2026年5月28日)
- 日立製作所|HMAX Data Center提供開始(2026年9月3日)