売った後に上がったら、どこで戻るか
セル・イン・メイを使って株式を売却した後、価格が上がると、元の値段まで下がるのを待ちたくなる場合があります。そのまま上がれば買い直せず、焦って戻れば予定以上の資金を使う可能性があります。売却は一度の判断でも、再購入という次の判断が残ります。
この格言は夏の価格を保証しません。季節性の研究に平均の差があっても、その年の値動きや個別企業へ一律に当てはまりません。
同じ100株を戻す独自の仮例
架空の国内株100株を5月に2,000円で売り、11月の株価が2,200円になったとします。売却代金は20万円、同じ100株を買い戻す額は22万円で、差は2万円です。費用や税、現金の利息、期間中の配当は除いています。
実際の市場の結果ではなく、保有しない間の上昇が買戻しへどう影響するかを示す独自の例です。追加資金を使わない方針なら、元と同じ株数を戻せるとは限りません。通常の100株単位の売買を前提に、端数まで自由に買えるとも置いていません。
反対に、買戻しの価格が下がる場合もあります。この仮例だけで通年保有が常に有利とも、季節売買が常に不利とも決まりません。
前の売値へこだわり過ぎない
以前いくらで売ったかは、自分の損益を振り返る数字になりますが、将来の会社の価値を決めるものではありません。決算や契約の条件が変われば、現在の評価も変わり得ます。
また、9月に戻るのか11月に戻るのか、価格を条件にするのかで、当初と違う方法になります。結果を見てから戻る時期を変えて説明すると、過去の季節性が再現されたかも比較できなくなります。
費用と税の条件も別に残る
売却と購入を追加すれば、その取引に応じた費用や、利用口座による税の条件が関わります。無料の売買でも、見た価格と約定する価格の差などが起きる場合があります。
NISAでは売却損の扱いや年間投資枠の再利用にも条件があるため、現金が戻ったことだけで、その年に何度でも同額を買えるとは限りません。制度の具体例は関連するNISAの記事で扱っています。
待機資金を、同時に生活費へ使わない
売却代金を近い支出へ充てるなら、同じ現金を全額買戻しへ使う計画は成り立ちません。生活の備えを確保する目的と、夏の相場を避ける目的を分ける必要があります。
季節性を知った後に読むべきなのは、売る月だけでなく、何を持たずに待ち、何の条件で戻るかです。自分の資金の予定まで含めて説明できれば、格言から生じる追加の負担を把握しやすくなります。
出典
- Fuller / Yu / Boudreaux「Should Investors Be Fearful of the Halloween Effect?」季節の区分と検討方法
- 金融庁「資産形成の基本」
- 金融庁「NISAを知る」
- 国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
参考資料の確認日:2026年10月23日。