「前からこうしている」が理由になっていないか
現状維持バイアスでは、新しく選ぶなら別の案を選ぶ場面でも、現在の設定や持ち物を維持しやすくなります。SamuelsonとZeckhauserの研究は、選択肢に現状を残す案があると、それが選ばれやすい傾向を扱っています。投資では、積立設定、商品の選択、資産配分などで考えられる問題です。
ただし、売らずに持つこと自体は偏りの証拠になりません。売却費用や税負担、商品を調べ直す手間があり、変更しない方が合理的な場合もあります。問題は、それらを比較する前に「今まで通り」で結論を閉じることです。
保有中と未保有で評価をそろえる仮例
同じ資産へ投資する仮想の投資信託AとBがあり、年間の費用率がAは0.9%、Bは0.3%だったとします。残高100万円が変わらない単純計算なら、費用差は年6,000円です。Aを持っている人が「変更は面倒」と感じても、少なくとも差額を具体化すれば、維持の負担を見落としにくくなります。
もっとも、投資対象、為替ヘッジ、運用方法が異なれば費用だけの比較はできません。売却時の負担が1万円なら費用差だけの単純な回収期間は約1年8か月ですが、残高や費用の変化を無視した目安にすぎません。
続ける根拠を更新する
「今日初めて選ぶならどうするか」と「今から変更するならどうするか」を別々に書きます。前者がBでも、後者がAの継続になることはあります。変更に伴う負担が違うからです。
年1回、または転職・教育費など家計条件が変わった際に、目的、必要時期、配分、費用を見直します。確認した結果として現状を選べたなら、売買を増やす必要はありません。